2028年度から変わる大阪府公立入試の変更点をわかりやすく解説!

「2028年度(令和10年)から大阪の公立入試がガラッと変わるらしい」
そんな噂を耳にして、「具体的に何が変わるの?」「うちの子は不利になるの?」と、漠然とした不安を感じていませんか?
結論から申し上げますと、入試制度は「4つのポイント」で大きく変化します。
特に現在の小学5・6年生から中学1年生は、まさにこの新制度が直撃する世代。
制度を知っているかどうかで、今後の選択肢や対策が大きく左右されることになります。
この記事では、忙しい保護者の方のために、複雑な変更点をスッキリ整理し、「今から家庭でできる対策」をまとめました。
「知らなかった」で後悔しないために、まずは全体像をサクッと把握して、お子さまの進路サポートにお役立てください。
大阪府の内申点や学力検査の配点などについては大きな変更はありません。
内申点や学力検査の配分などについて詳しく知りたい方はこちらの記事も一緒に読んでみてください。

大阪府公立高校入試の最大の変更点!「学校特色枠」とは?

今回の改革で一番の目玉であり、保護者の皆さんが一番気になるのが「学校特色枠」ではないでしょうか。
難しそうな名前ですが、一言でいうと「高校との相性が良ければ、合格のチャンスが2回に増える」という、お子さまにとって嬉しい制度です。
これまでの入試は、全員一律の「総合点(テスト+内申点)」だけで決まるシビアな世界でした。
しかし、新制度のイメージは「入試版オーディション」。
「5教科の合計点」という一つの物差しだけでなく、
- 「英語なら誰にも負けない」
- 「部活動で培った根性がある」
- 「将来の夢が明確にある」
といった、お子さまだけの「強み」や「個性」が合否に直結する仕組みに変わります。
保護者が知っておくべき学校特色枠の「3つのメリット」
この枠を利用する最大のメリットは、「合格のチャンスが増える」ことです。
入試のチャンスが2回ある!
この枠(第1手順)に応募して万が一不合格でも、自動的に従来の「一般選抜(第2手順)」で再度判定してもらえます。つまり、この枠を使わない手はありません。
定員の最大50%がこの枠で決まる
学校によっては定員の半分をこの枠で募集します(割合は高校により異なります)。
「一芸」が武器になる
全教科まんべんなく点数を取るのが苦手でも、特定の教科や実技がズバ抜けていれば逆転の可能性があります。
入学試験はどう変わる?(2日制の導入)
「学校特色枠」を受ける場合、試験は原則2日間になります。
【1日目】5教科のテスト(全員共通)
これまで通りの学力検査です。
ただし、この枠の判定では「英語の点数を2倍にする」など、学校独自の「傾斜配点」が行われることがあります。
【2日目】独自検査(この枠を受ける人のみ)
面接、プレゼン、作文、実技など、高校ごとに全く違う試験が行われます。
事前に「エントリーシート(自己アピール書)」の提出が必要な場合もあります。
うちの子はどのタイプ? 選抜パターンの実例
各高校が発表している例を見ると、大きく4つのタイプに分かれます。
「得意教科・学力」重視タイプ
特定の教科に強いお子さま向けです。
- 北野・天王寺など: 5教科のテストに加え、エントリーシートなどで総合的に判定。
- 春日丘など: 内申点を見ず、「当日のテストの点数のみ」で判定するケースも!
※注意点: 英検などを持っていても、この枠の判定では「点数保証」が使えず、当日の実力勝負になる高校が多いです(三島、春日丘など)。
「部活動・実技」重視タイプ
スポーツや芸術に打ち込んでいるお子さま向けです。
- 桜塚など: 野球、バスケ、バレーなどの経験者を対象に「実技検査」を実施。
- 夕陽丘(音楽科): 実技の配点が900点満点と非常に高く設定されています。
「意欲・リーダーシップ」重視タイプ
生徒会やボランティア、探究活動を頑張りたいお子さま向けです。
- 箕面: 「自己研鑽(自分を磨くこと)」への意欲を重視。
- 港: 面接などで「高校生活への熱意」をしっかり確認します。
「専門コースへの適性」重視タイプ
将来の夢が決まっているお子さま向けです。
- 東百舌鳥: 教員や保育士を目指す生徒に対し、適性を評価します。
- 工芸など: 美術科志望の場合、内申点の「美術」の成績を10倍にして計算するなど、ユニークな計算式を用いることもあります。
学校特色枠は早期の情報収集がカギ!
「学校特色枠」は、学校ごとに内容がガラリと変わります。
お子さまの志望校が「何を重視しているか(学力なのか、実技なのか、意欲なのか)」を今のうちからチェックしておきましょう。
「英語が得意だから、英語の配点が高い高校を狙う」
「部活を頑張りたいから、実技試験がある高校を見る」
このように、早めに作戦を立てることで、お子さまの可能性はぐっと広がります。
新しく始まる大阪府立高校入試の「第2志望制度」ってなに?

これまでの大阪の公立入試は「1校だけの一発勝負」が基本で、「落ちたら私立へ」という流れが一般的でした。
しかし、2028年度からは「第2志望制度」が導入され、「もしものためのもう1校」をあらかじめ選べるようになります。
「絶対に公立高校に行かせたい」と考えるご家庭にとっては、まさに「もしもの時の命綱」となる嬉しい制度。
ただし、この制度には注意すべき「使える条件」があります。
ここを勘違いしていると後で大変なことになるため、忙しい保護者さんでも「ここだけは押さえて!」というポイントに絞って解説します。
ここが重要!「第2志望制度」を利用して 合格するための「絶対条件」
「じゃあ、憧れのA高校を第1志望にして、実力相応のB高校を第2志望にしておけば安心ね!」 …と思いがちなのですが、実はここに大きな落とし穴があります。
第2志望で合格できるのは、以下の条件が揃った時だけです。
- 第1志望の高校が不合格だった場合
- 第2志望に選んだ高校が「定員割れ」している場合
つまり、あなたが第2志望に選んだ高校が人気で、その学校を第1志望にしている子だけで定員が埋まっている場合、あなたの合否判定は行われません。
「第2志望制度」は、あくまで「定員に空きがある高校への再チャレンジ権」だと考えてください。
人気校同士を第1・第2志望に設定しても、第2志望が機能しない可能性が高いのです。
第2志望校のために追加でのテストは必要ない
第1志望校が不合格だった場合に、第2志望校のためにテストを追加で受験する必要はありません。
第1志望校で受けたテストの結果を使って、第2志望校の合否を判定します。
ここで、「え? でも高校によって問題の難易度(A・B・C問題)が違うじゃない?」と疑問に思うかもしれません。
そこも安心してください。
判定の仕組み(共通問題換算)
難易度が違うテストを受けた子同士を公平に比べるために、テストの中に含まれる「共通問題(みんなが同じ内容を解いた部分)」の点数だけを抜き出して判定します。
これにより、難しい問題の高校を受けた子も、標準的な問題の高校を受けた子も、同じ土俵で公平に評価されます。
「第2志望校制度」の出願のパターンは2種類
出願の時は、以下のどちらかのパターンで第2志望を選べます。
- 別の高校を選ぶ
- 同じ高校の「違う学科」を選ぶ
①の例としては、第1志望「〇〇高校(普通科)」 → 第2志望「△△高校(普通科)」というものがあります。
②の例としては、第1志望「〇〇工科(機械系)」 → 第2志望「〇〇工科(電気系)」のように工科高校や商業高校など、学科がたくさんある高校で使えます。
「第2志望制度」は良い制度だが、高校選びが重要!
この制度は、公立高校への進学を強く希望するご家庭にとっての「セーフティネット(安全網)」です。
ただし、「滑り止め」として機能するかどうかは、その年の倍率(定員割れするかどうか)に左右されます。
第2志望を選ぶ際は、「行きたい高校」を選ぶことも大切ですが、「どうしても公立に行きたいなら、定員に余裕がありそうな高校を検討する」という、現実的な戦略も必要になってきます。
2028年度から大阪府公立高校の入試日程が「3月1日」に一本化されます

これまでは、学科によって「2月の特別選抜」と「3月の一般選抜」に分かれていました。
「2月がダメでも3月に再挑戦」というケースもありましたが、これが原則廃止されます。
2028年度からは、普通科も専門学科も、すべての高校が「3月1日ごろ」に入試を行います。
- これまで: 3月中旬が本番(一般選抜)
- これから: 3月1日ごろが本番(約2週間早まる)
大阪府の公立高校の入試がなぜ時期が早まるの?(3つのメリット)
「試験日が早まるなんて、勉強する時間が短くなるだけじゃない!」 そんな風に焦ってしまうお母さんも多いのではないでしょうか。
でも実は、このスケジュール変更は「受験生の負担を減らし、高校生活をスムーズに始めるため」の前向きな変更なんです。
具体的に、お子さまにとってどんな良いことがあるのか、3つのメリットを見ていきましょう。
- 入学準備に余裕ができる 入試が早く終わる分、合格発表も早まります。制服の採寸や教材の準備、あるいは高校からの課題に取り組むなど、バタバタせずに春休みを過ごせます。
- 気持ちを早く切り替えられる 今までのように3月中旬まで試験があると、卒業式シーズンと重なり精神的に落ち着かないこともありました。早めに終わることで、スッキリした気持ちで卒業式を迎えられます。
- 高校生活のスタートダッシュ 高校の部活動見学に行ったり、予習を始めたりと、高校生活に向けた「助走期間」が長く取れるようになります。
入試日程が2日間になるケースもある
日程は「3月1日」にまとまりますが、試験自体は最大2日間で行われる場合があります。
- 【1日目】全員が受験 5教科(国・数・英・理・社)の学力検査。
- 【2日目】対象者のみ受験 先ほど解説した「学校特色枠」に応募した人(面接・実技など)や、体育科・音楽科などの実技が必要な人が対象です。
2月に試験がある「例外」もあります
基本は3月1日ですが、特別な配慮が必要な選抜だけは、引き続き2月に行われます。
- 海外から帰国した生徒(帰国生選抜)
- 日本語指導が必要な生徒
- 知的障がい生徒自立支援コース
これらに該当しない大多数の受験生は、「3月1日の一発勝負」となります。
大阪府の公立高校入試がシンプルでわかりやすくなる
「2月入試、3月入試…」と複雑だったスケジュールが、「みんな一緒に3月1日!」とシンプルになります。
受験勉強の追い込み時期がこれまでより2週間ほど早くなるので、「中学3年生の2月はもう本番直前」という意識で、早め早めのスケジュール管理をしていく必要がありそうです。
大阪府公立高校入試の英検などの「読み替え率」が変わります

「うちの子、英検2級を持ってるから英語は安心!」 もしそう思っているなら、少し注意が必要です。
2028年度からの入試改革では、これまで「最強の武器」と言われてきた英検などの「読み替え率(点数保障)」のルールが厳しくなります。
特に、進学校を目指すお子さまにとっては「英検を持っているだけでは守られないケース」が出てきます。
勘違いしやすいポイントなので、しっかり整理しておきましょう。
変更点1:英検2級の「保障点数」が下がります
これまで大阪府の入試(C問題採用校)では、英検2級を持っていると「当日80%の点数を保障(読み替え)」してくれました。
しかし、2028年度からは、この保障ラインが「70%」に変更される見込みです。
| 外部検定 | 級・スコア | 保障される得点率 |
|---|---|---|
| 英検 | 準1級・1級 | 90% |
| 2級 | 70% | |
| TOEFL iBT | 60点〜 | 90% |
| 40〜49点 | 70% | |
| IELTS | 6.0〜 | 90% |
| 5.0 | 70% |
どういう仕組みで点数を反映するの?
「当日のテストの点数」と「保障された点数」を比べて、高い方を採用してくれるというありがたい仕組み自体は変わりません。
- ケースA: 当日のテストで50点(大失敗…)⇒英検2級があれば「70点」に救済!(これが点数保障)
- ケースB: 当日のテストで80点(実力発揮!)⇒そのまま「80点」を採用。
つまり、「当日の失敗を防ぐ保険」としての機能は残りますが、2級の保険としての威力は以前より弱くなる(80点→70点)ということです。
変更点2:【重要】大阪府立高校の進学校の「学校特色枠」では使えない!?
ここが今回最大の落とし穴です。
新しく始まる「学校特色枠(入試の第1手順)」において、多くの進学校が「この点数保障を使わない(=当日の実力のみで判定する)」という方針を出しています。
「点数保障は使いません」としている高校の例
- 文理学科の設置校すべて (北野、豊中、茨木、大手前、四條畷、高津、天王寺、生野、三国丘、岸和田)
- その他の人気校 (春日丘、三島、箕面、池田、和泉、八尾 など多数)
これらの高校の「学校特色枠(チャンス1回目)」に挑戦する場合、英検を持っていても点数は加算されず、当日のテストの素点だけで勝負することになります。
※もし特色枠で不合格になり、「一般選抜(チャンス2回目)」に回った場合は、これまで通り英検の点数保障が使えると考えられます。
これからの英語対策は当日も大事!
制度変更により、「とりあえず英検2級を取れば、入試の英語は免除されたも同然」という時代は終わります。
- 英検はあくまで「保険」 第2手順(一般選抜)での滑り止めや、万が一の体調不良時の「お守り」としては引き続き有効です。
- 進学校狙いなら「実力」が必須 トップ校の「学校特色枠」を勝ち取るには、資格に頼らず、当日の試験で高得点を叩き出す本物の英語力が必要になります。
「資格があるから安心」と油断せず、当日のテストでしっかり点数を取るための勉強を続けていきましょう。
今から家庭でできる新しい入試制度対策の「2つの準備」

これから大阪府の公立高校の入試制度は大きく変わります。
従来の「偏差値」だけで高校を選ぶのではなく、「うちの子の個性に合った高校はどこだろう?」という視点で学校探しをすることが、合格への近道になります。
小学生や中1のお子さまをお持ちの保護者の方は、今から何をしてあげればよいのでしょうか?
- 「基礎学力」を伸ばす
- 「自分の言葉で話す力」を育てる
まず、制度がどれだけ変わっても絶対に欠かせないのが「基礎学力」です。
新しい「学校特色枠」に挑戦するにしても、一般入試で勝負するにしても、教科書レベルの基礎学力はすべての土台となります。
特別な教材を用意する必要はありません。
「学校の授業を大切にする」「宿題をきっちりやる」といった当たり前の習慣を、ご家庭でもしっかりとサポートしてあげてください。
そしてもう一つ、新入試でカギとなるのが「自分の言葉で伝える力」です。
面接やプレゼンで求められるこの力は、塾で習うテクニックではなく、日々の会話の中で少しずつ育まれていくものです。
例えば、夕食の時などに「今日は学校どうだった?」と聞くと、お子さまからは「別に…」というそっけない返事しか返ってこないことはありませんか?
そんな時は、「今日、一番笑ったことは何?」「給食で何が美味しかった?」など、お子さまが具体的な感想を話しやすい質問に変えてみてください。
また、部活動や趣味に夢中になっているなら、それを全力で応援してあげることも大切です。
何かに熱中した経験は、将来の面接で語れる最高のエピソードになるからです。
「表現する力」は一朝一夕では身につきませんが、普段の何気ない会話や応援が、数年後のお子さまにとって「最強の武器」になります。
焦らずじっくりと、お子さまの成長を見守りながらサポートしていきましょう。
大阪府の公立高校の入試の基本情報について知りたい人は、こちらも記事も参考にしてください。

今回の記事が少しでも参考になれば嬉しいです。
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