【子どもの気持ちに寄り添う】不登校と学校行事の付き合い方

不登校になると悩むことのひとつが学校行事ですよね。

子どもが学校行事に参加したい場合は、どうしたらいいの?
参加する場合はどんな感じで参加できるのか。
不参加の場合は、どうすればいいのか。

今回は元中学校教員である僕が不登校の生徒が学校行事との付き合い方を解説していきます。

目次

学校行事は参加しないといけないの?

入学式や卒業式、運動会、文化祭、校外学習、修学旅行など、学校行事には意外と多くの種類があります。

不登校になると、学校との距離ができてしまうことがあり、学校行事への参加について悩む方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、元中学校教員の私が、実際に教員として経験したことを踏まえ、参加の義務や、参加を希望する場合や希望しない場合の過ごし方、親としてできることなどを詳しく説明していきます。

参加する義務はない

学校行事は、子どもたちの成長にとって貴重な経験の場となります。
しかし、参加は強制ではなく、お子様と保護者様が決めることです。

学校としては、子どもたちに様々な経験を通して成長してほしいという願いから、行事への参加を推奨しています。
しかし、それを強制することはできません。

不登校のお子様にとって、学校行事は大きなハードルとなることもあります。
そのため、学校側としては、参加しやすい環境を整えるよう努めています。
例えば、別室での待機場所の確保、短時間だけの参加、オンラインでの参加など、様々な配慮が可能です。

最終的な判断は、お子様自身の気持ちと、保護者様のご意向を尊重して決めてください。
無理のない範囲で、お子様にとって有意義な経験となるよう、学校と協力しながら考えていきましょう。

不登校の子どもにとっての学校行事のメリット・デメリット

基本的に、学校行事への参加・不参加は、お子様にとってメリットもデメリットもないと思っています。

学校の成績に直接影響することはありませんし、受験にも不利になることはありません。

しかし、ここでは、あえてメリットとデメリットがあるとしたらと考えて、元中学校教員として多くの不登校生徒を見てきた私の経験に基づき、いくつかご紹介します。

メリット

  • 貴重な体験の場: 運動会や文化祭など、学校でしか経験できない貴重な体験をすることができます。
  • 登校のきっかけ: 学校行事に参加することで、久しぶりに学校に行くきっかけになる場合があります。
  • 達成感と自信: クラスメイトや先生と交流したり、目標を達成したりすることで、登校への自信につながります。

私が担当した不登校の生徒も、学校行事は特別なイベントということで、積極的に参加したいと考える生徒が多かったです。

デメリット

  • 参加を強制されるプレッシャー: 必ず参加しなければいけないというプレッシャーを感じ、不安やストレスを感じてしまう場合もあります。
  • 周囲との比較による孤独感: 参加しても、周囲の楽しそうな様子を比較して、孤独感や疎外感を抱いてしまう場合もあります。
  • 参加できない場合の罪悪感: 参加を希望しても、体調や状況によっては参加できない場合があり、罪悪感を感じてしまう場合もあります。

事前に練習や準備が必要な行事の場合、準備不足で参加してもすることがなく、退屈だったという生徒もいました。

人生で最初で最後の学校行事

学校行事に対する考え方は人それぞれであり、様々な捉え方や取り組み方があります。

今回は、人生で最初で最後の学校行事に参加したAさんの体験談をご紹介します。

小学校低学年からずっと不登校

ご家庭の事情や本人の病気の影響で、小学校の頃からなかなか学校に登校することが難しかったAさん。

中学3年生になり、少しずつ体調が回復し、登校する日が増えてきました。

そんな中、学校の文化祭の時期が訪れ、先生や友人と一緒に参加することになりました。

小学校から一度も学校行事に参加したことがなかったAさんにとって、初の学校行事ということもあり、とても楽しみにしていました。

運動は得意ではありませんでしたが、友人たちとK-POPダンスを披露することになりました。

毎日家で練習した成果もあり、本番では見事にミスなく踊り切ることができました。

ダンスを終え、舞台袖に帰ると、頑張った達成感からか、友人と一緒に涙を流していました

その後、Aさんは通信制高校に進学しました。
通学コースではなかったため、学校行事はあまりない学校生活を送ることになりました。

Aさんにとって、あのK-POPダンスが人生で最初で最後の学校行事となりました。

子どもの気持ちを確認しよう

学校行事への参加を検討する際、最も重要なのは、子ども本人が参加したいかどうかを確認することです。

子どもが学校行事に参加したいかどうかを尋ねる

お子さんが学校行事に参加したいかどうか、保護者として尋ねにくいと感じることもあるかもしれません。
しかし、お子さんの気持ちを尊重するためにも、まずは参加したいかどうかを優しく聞いてみましょう

参加について迷っている場合は、学校にいつまでに参加・不参加の意思を伝えればいいのかを確認しておくと安心です。

また、参加しない場合は、その理由を聞いてみてください
もしかしたら、本当は参加したいけれど、いきなり参加することに不安を感じているのかもしれません。
お子さんの気持ちをじっくり聞き、必要であれば学校に相談することも考えてみましょう。

無理強いはせず、子どもの意思を尊重する

保護者としては、お子さんに様々な経験をしてほしい、楽しい思い出を作ってほしいと願うものです。
しかし、学校行事に参加するかどうかは、最終的にお子さん自身が自分で決めることです。
お子さんが自分で決めたことに対しては、それが参加であっても不参加であっても、尊重してあげましょう。

お子さんの意思を尊重しつつ、参加する場合でも不参加の場合でも、どちらの状況にも対応できるよう、保護者として準備しておくことが大切です。お子さんの気持ちを理解し、寄り添うことが、お子さんの安心感につながります。

学校行事に参加する場合

学校行事に参加する場合は、なるべく早めに学校へ連絡を入れましょう

行事によっては、練習や準備が必要なものもあるため、早めの連絡をおすすめします。

学校と相談して、無理のない参加方法を検討する

運動会や合唱コンクールなどの学校行事では、お子さんの状況に合わせて、見学のみとするのか、一部だけ参加するのかなど、お子さんとよく相談しながら、学校と協力して参加方法を検討しましょう。

校外学習や修学旅行などの行事では、事前学習を通して行き先を決めたり、グループ活動に参加したりする場面があるかもしれません。
このような場合は、学校にお子さんの状況を伝え、必要な配慮をお願いしたり、事前学習の内容を教えてもらったりすることで、当日も安心して参加できるよう準備を進めることができます。

学校によっては、配慮が難しいと言われる場合もあるかもしれません。
しかし、諦めずに、お子さんと一緒に、無理のない範囲で参加できる方法を学校と粘り強く相談していきましょう。

大切なのは、お子さんが安心して参加できる方法を見つけることです。
学校と連携を取りながら、お子さんのペースに合わせて、少しずつ学校行事への参加に慣れていくこともできます。

保護者としてのサポート

学校行事に参加した後、久しぶりに多くの人と接したり、いつもと違う環境での刺激を受けたりすることで、お子さんは予想以上に疲れてしまったり、ストレスを感じてしまうかもしれません。

当日は、お子さんにとって体力面でも精神面でも、とても疲れる一日になることが予想されます。
ですから、お子さんが帰宅したら、まずはゆっくりと休めるよう、リラックスできる環境を整えてあげましょう。

特別な対応は必要ありませんが、温かい飲み物を用意したり、好きな音楽をかけたり、照明を少し落として落ち着いた雰囲気を作ったりするなど、お子さんが安心して過ごせるよう、心の準備と環境作りをしておくことが大切です。

また、お子さんが話したがっているようであれば、ゆっくりと話を聞いてあげましょう
無理に聞き出そうとするのではなく、お子さんのペースに合わせて、今日の出来事や感じたことを共有できるような雰囲気を作ってあげることが大切です。

学校行事に参加希望しない場合

学校行事に参加しない場合でも、早めに学校へ連絡しておきましょう

急遽参加を希望される場合もあるかもしれませんので、学校へいつでも連絡できる体制を整えておくことが大切です

最終決断日の確認

運動会や文化祭などの行事であれば、当日急に参加してもそこまで大きな問題はないかもしれません。

しかし、校外学習や修学旅行などの場合は、当日の急な参加は難しい場合が多いです。

参加を辞退する場合は、返金手続きが必要となる場合がありますので、キャンセル可能な期限を事前に確認しておきましょう。

もちろん、返金が不要であれば、当日まで参加を迷うことも可能です。

しかし、事前の準備や連絡が必要となる場合が多いことを考えると、やはり行事の数日前までに参加の可否を子どもと相談し、決定しておくことをおすすめします。

当日になってバタバタと参加の可否を決めることになってしまうと、子どもにとっても保護者にとっても負担が大きくなってしまう可能性があります。

切り替えて普段通りに過ごす

お子さんが学校行事への不参加を決めたのであれば、その意思を尊重し、無理強いしたり、何度も話題にすることは避けましょう。お子さんの気持ちを大切にし、その決断を受け入れることが重要です。

もしお子さんがまだ迷っている様子であれば、じっくり話を聞いて、相談に乗ってあげましょう
しかし、すでにはっきりと不参加の意思を示しているのであれば、お子さんも保護者の方も気持ちを切り替えて、普段通りの生活に戻ることが、お互いにとって楽な過ごし方につながります。

学校行事の話題は一旦終わりにして、お子さんの興味のあることや、楽しいと思えることに目を向けてみましょう。
一緒に料理をしたり、散歩に出かけたり、好きな映画を見たりするなど、お子さんがリラックスして過ごせる時間を共有することが大切です。

学校、先生との連携

学校行事だけでなく、普段から学校の先生と連携を取っておくことをおすすめします。

頻繁に連絡を取る必要はありませんが、何かあった時に相談できる体制を作っておくと、さまざまな面で役に立ちます。

学校行事に関連する情報やサポート

お子さんが学校行事に参加したいと思ったときに、スムーズに対応できるよう、普段から学校との連携を密に取っておくことが大切です。

見学のみの参加や、一部分だけの参加など、お子さんの希望に沿った形で参加を実現しようとすると、保護者だけでは難しい場合もあります。

日頃からお子さんの様子や性格などを学校に伝えておくことで、先生方もお子さんに合った参加方法を工夫してくれるでしょう。

学校と保護者が協力し合い、お子さんの状況を共有しながら、安心して学校行事に参加できるようサポートしていくことが重要です。

学校行事以外のときにも大事

お子さんが小学生であれば中学校進学、中学生であれば高校受験など、将来の進路に関する情報収集において、最もスムーズかつ信頼できる情報源は、やはり学校の先生です。

学校行事に関する連絡だけでなく、普段から学校との連携を良好に保ち、お子さんの学習状況や心の状態などを共有することで、先生方はお子さんの状況を深く理解し、適切なサポートやアドバイスを提供することができます。

特に、不登校のお子さんにとっては、学校とのつながりを維持することが、将来の進路選択においても大きな意味を持ちます。先生方は、お子さんの個性や能力を把握し、最適な進路を一緒に考えてくれるでしょう。

保護者と学校が協力し合い、情報共有を密に行うことで、お子さんの学校生活をよりスムーズに、そして安心して過ごせるようにサポートすることができます。

参加でも不参加でも子どもにとって良い選択を

学校行事への参加は、強制参加ではありません。

確かに、学校でしか経験できない貴重な機会も存在します。

しかし、その経験が必ずしも重要であるとは限りません。

大切なのは、お子様の意思を尊重し、ご一緒に最善の選択をしていくことです。

学校との良好な関係を築きながら、お子様に合った学び方や成長の場を見つけていくことが重要です。

今回のブログ記事が、少しでも皆様の参考になれば幸いです。

気になることや質問があれば、X(旧Twitter)のDMや公式LINE、お問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。

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