【不登校の選択肢】適応指導教室とフリースクール、違いを徹底解説!
「学校に行きたくない…」お子さんのそんな言葉に、胸が締め付けられる思いをされたことはありませんか?
不登校は決して珍しいことではなく、多くの子どもたちが悩み、苦しんでいます。
そして、その子どもたちを支える保護者の方々も、深い不安や孤独を感じていることでしょう。
そんな時、お子さんの新たな居場所として、「適応指導教室」や「フリースクール」という選択肢があることをご存知でしょうか?
どちらも不登校の子どもたちを支援する場ですが、その内容は大きく異なります。
この記事では、適応指導教室とフリースクールの違いを徹底的に解説し、それぞれの特徴やメリット・デメリットをご紹介します。
どうか一人で悩まず、この記事を通して、お子さんにぴったりの場所を見つけるための一歩を踏み出してください。
適応指導教室とは?
適応指導教室とは、一体どのような場所なのでしょうか?
どんなメリット・デメリットがあるのでしょうか? 詳しく解説していきます。
適応指導教室の概要
ここでは、適応指導教室について、どの組織が設置し、対象者や目的などを紹介していきます。
設置者
適応指導教室とは、各都道府県の市区町村、自治体、教育委員会等が設置する。
教育委員会が設置・運営する不登校児童生徒の学校復帰に向けた指導・支援を行う「教育支援センター(適応指導教室)」の設置を推進。(平成16年度 1,152カ所)
平成29年度時点では、約6割の自治体に設置されています。
◇約63%の自治体で設置。
適応指導教室は、自治体によって呼び方が変わり、【教育支援センター】と呼ばれることもあります。
目的
適応指導教室とは、不登校児童生徒の集団生活への適応、情緒の安定、基礎学力の補充、基本的生活習慣の改善等のための相談・適応指導を行うことにより、その学校復帰を支援し、もって不登校児童生徒の社会的自立に資することを基本にする。
適応指導教室(学校支援センター)の取り組みについて
対象者
文部科学省の基準では、長期欠席者(何らかの 心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、 登校しないあるいはしたくともできない状況にあるために年間 30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を 除いたもの)が対象となります。
ただし、必ずしもこの基準に当てはまらなければ利用できないというわけではありません。
まずは、学校や教育委員会に相談してみましょう。
具体的な活動内容や指導体制
適応指導教室(教育支援センター)によって、活動内容や指導体制は異なります。
もし適応指導教室の利用を考えているなら、お住まいの自治体の情報を調べてみましょう。
ここでは、大阪府枚方市の教育支援センター「ルポ」を例に、具体的な活動内容をご紹介します。
大阪府枚方市教育センター【ルポ】の活動内容
ルポでの活動内容は大きく分けてこの5つです。
- 学習活動:本人の学習意欲に重点を置いた自習活動を基本とする。
- 個人活動:児童・生徒の状況に合わせ柔軟に対応する。
- グループ活動:小集団活動が基本
- 体験学習・教育講座等:年間計画に従い実施
- カウンセリング:児童・生徒に週1回、保護者に月1回のカウンセリングを実施する。
その他にも、調理実習、プログラミング活動、eスポーツ体験、外部講師による特別授業など、様々な取り組みが行われています。
詳しくは、枚方市または枚方市教育委員会のホームページをご覧ください。
大阪府枚方市教育センター【ルポ】の指導体制
令和4年度の情報では、指導員2名、学生指導員(心理系・教員養成系の大学生)、カウンセラーという体制で運営されています。
指導員は教員免許が必須のため、一定の知識と経験を持った専門家が指導にあたります。
そのため、学習面でも安心できる環境と言えるでしょう。
また、指導員以外にもスタッフがいるため、安全で安心して過ごせる環境が整っていると考えられます。
適応指導教室のメリット・デメリット
ここでは、フリースクールと比べて適応指導教室が持つメリットとデメリットを解説します。
適応指導教室のメリット
学校との連携がしやすい
適応指導教室のほとんどは、各市区町村の自治体や教育委員会が設置しています。
そのため、学校との連携がスムーズに行われます。
地元の学校に復帰したい、行事に参加したいと考えている場合は、適応指導教室の利用がおすすめです。
進路についての相談なども、学校との連携が取りやすいので、気軽に相談できるでしょう。
フリースクールでも学校に指導状況などを提出してくれるところもありますが、適応指導教室ほど密に連携を取れることはほとんどありません。
費用がほとんどかからない
適応指導教室は公立の教育機関です。
そのため、入会金や授業料などは無料です。
費用がかかるとしたら、調理実習や校外学習時の実費分くらいです。
フリースクールは、月に1〜5万円程度かかることを考えると、経済的にかなり負担が軽くなります。
専門の指導員がいる
適応指導教室では、教員免許を持った人しか指導員になれません。
そのため、専門的な知識のある人が授業を教えてくれます。
また、カウンセラーもいるので、相談したいことがあればいつでも相談できる体制が整っています。
最近のフリースクールでは、カウンセラーを配置しているところも増えていますが、全てのフリースクールがそうとは限りません。
適応指導教室のデメリット
設備や学習環境が良くない場合がある
各市区町村の教育委員会が運営していることが多いため、予算に限りがある場合があります。
不登校の生徒が多い地域では、予算が潤沢で設備などが充実していることもありますが、多くの適応指導教室はそうではありません。
行政が借りているビルのワンフロアを適応指導教室にしているケースも見られます。
そのため、学習に適した環境かどうかは、実際に見てみないと判断が難しいでしょう。
検討される場合は、ぜひ見学に行くことをおすすめします。
活動内容の自由度が低い
最近では、プログラミング授業やeスポーツ体験、外部講師を招いた特別講義など、様々な活動を取り入れている適応指導教室も増えてきました。
もちろん、地元の学校に比べると学習カリキュラムなどはそこまで厳格に決まっていないので、ある程度の自由度はあります。
しかし、フリースクールに比べると、活動内容の自由度は低いと言えます。
公立の教育機関である以上、あまりにも自由すぎる活動は難しいのかもしれません。
手続きに手間と時間がかかる
これは役所の手続き全般に言えることですが、適応指導教室の利用開始までには、意外と手間と時間がかかります。
まずは、適応指導教室の見学や相談を行い、その後、必要な書類を提出します。
さらに、適応指導教室のスタッフが地元の学校の先生と子どものことについて情報共有を行います。
こうした一連の流れが終わってから、ようやく通い始めることができます。
行きたいと思ってもすぐに行けるわけではないので、その点を注意しておきましょう。
フリースクールとは?
ここからは、フリースクールについて、その概要やメリット・デメリットを詳しく紹介していきます。
フリースクールの概要
フリースクールとは、学校教育法で定められた学校ではなく、民間の団体や個人が運営する教育施設です。
不登校や様々な理由で学校に通えない子どもたちが、安心して過ごせる居場所を提供し、多様な学びの機会を提供しています。
フリースクールの設置者
フリースクールは、民間企業や個人が運営する教育施設です。
そのため、基本的に誰でも開校することができます。
その中でも特に多いのが下記の5つです。
- 元教員や教育関係者
- 不登校経験者やその保護者
- 心理カウンセラーやソーシャルワーカー
- 地域活動家やNPO法人
- 学校法人
最近では、通信制高校を併設するフリースクールも増えてきています。
フリースクールの対象者
ほとんどのフリースクールでは、小学生から中学生・高校生を受け入れ対象にしています。
しかし近年では、20歳ほどの社会人も通えるスクールも存在します。
対象者の年齢層によって、フリースクールの雰囲気も変わってくるので、見学や体験に行く際には、ぜひチェックしておきましょう。
具体的な活動内容や指導体制
フリースクールによって、活動内容や指導体制は大きく異なります。
各スクールの特色をしっかり理解しておきましょう。
活動内容
活動内容は各フリースクールによって異なり、かなり個性が出ます。
大まかに分けると以下のようになります。
- 個別の学習: 一人ひとりの学習状況やペースに合わせた学習支援を行います。
- 友だちとの交流: 同じような悩みを持つ仲間との交流を通して、社会性やコミュニケーション能力を育みます。
- 課外活動: スポーツ、音楽、アート、自然体験など、様々な活動を通して、子どもたちの興味や関心を広げます。
- フリータイム(自由時間): 子どもたちが自由に過ごせる時間を設け、リラックスしたり、好きなことに取り組んだりできます。
また、オンラインのフリースクールもあり、そこでも同様の内容の活動が行われています。
指導体制
指導体制も各フリースクールによって特色が異なります。
元教員、元不登校の生徒の保護者、現役塾講師など、様々なバックグラウンドを持つスタッフがいます。
その他、企業やNPO法人と協力しているフリースクールもあります。
フリースクールのメリット・デメリット
ここでは、適応指導教室と比べたフリースクールのメリットとデメリットについて解説します。
フリースクール選びの参考にしていただければ幸いです。
フリースクールのメリット
自分に合った環境を選べる
適応指導教室は、基本的にはその地域に住んでいる子どもしか対象ではありません。
そのため、自分の住んでいる地域の適応指導教室があまり魅力的でなく、隣の市区町村の方が良いと思っても通うことができません。
しかし、フリースクールならどこに住んでいるかは関係なく、自分が行きたいところを選ぶことができます。
選択肢という点においては、適応指導教室よりも選べる範囲が広いので、自分に合ったフリースクールを見つけやすいでしょう。
施設や設備が整っている
ほとんどのフリースクールは、ここ10年以内にできたところが多く、比較的新しくきれいな場所が多いです。
そのため、比較的設備も整っており、落ち着きやすい、良い環境で過ごしたいと考えているお子さんにはおすすめです。
多様な学びができる
フリースクールは、学校のように国から学習のカリキュラムが決まっているわけではありません。
そのため、各フリースクールによって自由に教えたり、学んだりすることができます。
学習に特化したフリースクールもあれば、音楽に特化したフリースクール、プログラミングや金融など社会に出てから役に立つことを学べるフリースクールもあります。
自分が興味のある分野を学べる場所を選ぶのも一つの方法です。
フリースクールのデメリット
お金がかかる
適応指導教室に比べると費用がかかります。
平均的な金額で言うと、月に3万円近くかかるようです。
さらに、課外活動などに参加すると実費分がかかるので、家庭への経済的負担は軽くはありません。
お住まいの自治体によっては、フリースクールの補助金が出ている場合もあるので、確認してみましょう。
学校との連携が弱い
適応指導教室に比べると、地元の学校との連携は弱くなります。
もちろん、フリースクールによっては学校へ学習状況を報告したり、出席扱いにしてもらえるように連絡を取ってくれるところもあります。
しかし、教育委員会が運営している適応指導教室に比べると、地元の学校への連携は弱くなってしまうのが現状です。
地元の学校への復帰を考えている場合は、フリースクールではなく適応指導教室の方が良い場合もあります。
指導員の質が一定ではない
フリースクールは公的な機関ではないので、指導員に特別な資格などは求められていません。
そのため、教育に関する知識や経験がある指導員ばかりではありません。
また、カウンセラーなどを配置していないフリースクールもあるので、専門家に相談したいという場合には、他の機関との連携が必要になることもあります。
最近では、通信制高校や私立学校が運営しているフリースクールなどもあるので、そのようなフリースクールであれば、指導員も資格を持っていたり、経験や知識がある人が多い傾向にあります。
適応指導教室とフリースクールの違いを比較
ここでは、適応指導教室とフリースクールの違いを、活動内容や費用などの面から表を用いて比較していきます。
各項目の比較
特徴 | 適応指導教室 | フリースクール |
---|---|---|
設置者 | 公的機関(教育委員会など) | NPO法人、民間団体等 |
対象者 | 小・中学生 | 幅広い年齢層(小学生~社会人) |
費用 | ほぼ無料 | 平均月額約3万円 |
施設・設備 | 学校と似た環境 | 比較的新しい設備 |
活動内容 | 学校と似た内容 | 多様なプログラム |
指導員 | 教員免許を持つ指導員 | 様々なバックグラウンドを持つスタッフ |
もちろん、他にも比較すべき点はたくさんありますが、主な違いを簡単にまとめると上記のようになります。
それぞれのメリット・デメリットを比較
観点 | 適応指導教室 | フリースクール |
---|---|---|
メリット | 学校との連携がしやすい 費用がほとんどかからない 専門の指導員がいる | 自分に合った環境を選べる 施設や設備が整っている 多様な学びができる |
デメリット | 設備や学習環境が良くない 活動内容の自由度が低い 手続きに手間と時間がかかる | お金がかかる 学校との連携が弱い 指導員の質が一定ではない |
ここまで、適応指導教室とフリースクールのメリット・デメリットをそれぞれ詳しく見てきました。
今後、どちらを選ぶか悩んだときの参考にしていただければ幸いです。
適応指導教室とフリースクールの選び方
ここでは、適応指導教室とフリースクールを選ぶ際のポイントを紹介します。
お子さんの状況に合わせて選ぶ
適応指導教室とフリースクール、どちらを選ぶかはお子さん自身の状況によって大きく変わります。
お子さんとよく話し合って、その子に合った方を選びましょう。
学校復帰を考えている
学校への復帰を考えている場合は、適応指導教室がおすすめです。
学校との連携が取れているため、復帰する場合のサポート体制が充実しています。
学習を頑張りたい
学習を頑張りたい、進学を考えている場合も、適応指導教室がおすすめです。
フリースクールでも学習をメインにしているところもありますが、進学などを考えると、学校と連携を取れている適応指導教室の方が、課題やテストなど学習に関するサポートが手厚く受けられます。
また、適応指導教室は費用がほとんどかからないので、その分を学習塾などに充てるという方法も取れます。
学びたいことが決まっている
学びたいことが決まっている場合は、フリースクールがおすすめです。
多様なプログラムがあるので、プログラミングや課外活動など、自分がやりたいことができるフリースクールを選びましょう。
学校とは違う環境にいたい
学校とは全く違う環境に行きたい場合は、フリースクールがおすすめです。
適応指導教室は、学校と似た環境であることが多いです。
一方、フリースクールはおしゃれな雰囲気だったり、明るい施設が多かったりするので、学校と違った場所、環境で頑張りたいという人にはおすすめです。
適応指導教室やフリースクールの情報収集方法
ここでは、適応指導教室やフリースクールについて情報収集する方法を紹介します。
適応指導教室
適応指導教室は、多くの場合、各市区町村の教育委員会が運営しています。
そのため、お住まいの教育委員会のホームページから探すと情報を得ることができます。
もしホームページが見つからない、または情報が少ない場合は、直接電話などで問い合わせてみましょう。
フリースクール
フリースクールについて調べる場合は、まずはホームページから情報収集するのがおすすめです。
その他、各教育委員会のホームページに管轄内にあるフリースクールが掲載されていることがあります。
もし見当たらない場合は、教育委員会に問い合わせてみましょう。
教育委員会から紹介されるフリースクールは、一定の基準を満たしていると認められている団体なので、安心感があります。
見学や体験は必須
適応指導教室でもフリースクールでも、見学や体験は非常に重要です。
雰囲気や学習プログラムがお子さんに合っているかどうかは、実際に体験してみないとわからないことが多いからです。
どちらを選ぶ場合でも、必ず見学や体験をしてから決めるようにしましょう。
子どもにあった場所を選びましょう
適応指導教室でもフリースクールでも、お子さんに合った場所ならどちらを選んでも正解です。
もちろん、どちらかを選んだからといって必ず良い方向に進むとは限りません。
しかし、不登校で悩んでいる場合は、何か一歩踏み出すことが重要です。
また、外部のサポートを受けるだけでも、状況が好転することが多いです。
適応指導教室やフリースクール以外にも選択肢はあります。
お子さんに合った環境であれば、それもまた正解と言えるでしょう。
お子さんの気持ちに寄り添い、最適な環境を選んであげましょう。
この記事が少しでも参考になれば嬉しいです。
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