不登校から高校進学!親が知っておきたいサポート方法と選択肢

「我が子が不登校…どうしよう…。」 そんな悩みを抱えている保護者の方もいらっしゃるでしょう。
特に、中学生になると高校進学という大きな壁が立ちはだかり、不安はさらに募りますよね。

そこで今回は、教員経験と豊富な不登校生徒の高校進学サポート実績を持つハナマルが、あなたに寄り添いながら、不登校の生徒が選べる選択肢の種類と、それぞれのサポート方法を詳しく解説していきます!

目次

不登校と高校進学の現状

ここでは、文部科学省やこども家庭庁のデータなどを引用して解説していきます。

平成18年と古いデータもありますので、参考程度に見てもらえればと思います。

不登校小・中学生の割合

こども家庭庁のデータでは、令和4年度小学生が1.7%、中学生が6.0%となっています。

割合で表すと小学生は2クラス(1クラス35人)に1人、中学生は1クラス(1クラス35人)に2人いる計算になる。

過去5年間の傾向として、小学校・中学校ともに不登校児童生徒数及びその割合は増加している
(小学校H30:0.7%→ R04:1.7% 、中学校 H30:3.7%→ R04:6.0%)。

こども家庭庁 令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要(いじめ関連部分抜粋版)

文部科学省は、不登校について調査を行うために、以下のように定義しています。

不登校とは

文部科学省の調査では、「不登校児童生徒」とは「何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しないあるいはしたくてもできない状況にあるため年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの」と定義しています。

文部科学省 不登校の現状に関する認識

簡単に表現すると年間30日以上、欠席している児童生徒

ただし、近年は別室登校や、出席カウントとなるフリースクールやオンラインスクールなど、様々な形態の教育機会が増えています。

そのため、上記の定義に当てはまらないケースも増えてきている可能性があります。

実際に、筆者も別室登校ながら毎日学校に通っている生徒を何人も見てきました。

しかし、別室登校であっても出席扱いとするかどうかは、各学校が独自に判断するため、全国的に統一された基準はありません。

不登校の高校進学の割合

やや古いデータではありますが、大規模調査ならではの貴重な情報です。

特に、高校進学に関するデータは、今後の進路選択を考える上で参考になるのではないでしょうか。

この調査では、高校進学だけでなく、大学進学や就職に関するデータも閲覧できます。

近年は大学進学率が上昇している傾向にあり、この調査結果よりも高い数字になっている可能性もあります。

最新の情報と合わせて、お子様に合った進路を見つけていきましょう。

◯中学校卒業後の高校進学状況
  高校進学率 85.1%、高校中退率 14.0%

◯20歳現在の就学先
 大学・短大・高専 22.8%、高等学校 9.0%、専門学校・各種学校等 14.9%

◯20歳現在の就業状況
 正社員 9.3%、パート・アルバイト 32.2%、家業手伝い・会社経営 3.4%

部科学省 「不登校に関する実態調査」 ~平成18年度不登校生徒に関する追跡調査報告書~(概要版)

文部科学省の調査によると、全国の高校進学率は98.8%と非常に高く、不登校を含めたほぼ全ての中学生が高校に進学していることがわかります。

進学形態の内訳も調べることができ、全日制、定時制、通信制それぞれの割合も確認できます。

お子様の進路選択の参考資料として、ぜひデータ元を参照してみてください。

○ 高等学校等への進学率は、令和2年度には98.8%にのぼっている。

文部科学省 高等学校教育の現状について

近年の高校教育における多様性の広がり

近年では、特に定時制高校の生徒数が減っており、その代わり通信制高校の生徒数が増えてきている傾向があります。

また、専門学科など専門的な知識を学ぶ学校の数は減ってきていますが、その代わりに総合学科や情報学科など多様な専門分野を学べる学校が増えてきています

まさに多様な学び方が広がっているので、不登校の生徒でも自分に合った学校を見つけることができるようになってきています。

定時制高等学校の生徒数 81,895人、通信制高等学校の生徒数 206,948人

文部科学省 高等学校教育の現状について

不登校生徒の高校進学における選択肢

不登校はだからといって、特別なことはほとんどありません。

他の生徒と同じように、様々な進路を選択することができます。

具体的な進路先

  • 全日制高校
  • 定時制高校
  • 通信制高校
  • 高等専門学校
  • 高等専修学校
  • 就職

上記以外にも高卒認定取得後の大学進学という選択肢も存在しますが、難易度が高く、全ての生徒にとって現実的な選択肢とは言い切れません。

不登校の高校受験で気をつけること

不登校であっても、希望する学校を受験することは可能です。
しかし、不登校が受験で不利に働く場合もあることは事実です。

教員時代の経験に基づき、不登校生徒が受験で直面する課題について詳しく解説します。

不登校生徒が直面する課題

不登校であってもなくてもどの高校でも受験は可能です。
しかし、公立高校と私立高校では、合否判定に影響する要素が異なることを知っておきましょう。

公立高校の場合、テストの点数だけでなく調査書(内申書)も合否の判断材料となります。
調査書は、テストや授業態度などを総合的に評価したもので、不登校期間が長いほど低くなる傾向があります。

一方、私立高校は、テストの点数のみで合否を決める学校も多く、調査書の影響は比較的軽微です。

各都道府県の教育委員会のホームページでは、公立高校入試における調査書(内申書)の具体的な評価方法について詳しく説明されています。

受験前に必ず確認しておきましょう。

学力検査の成績の合計と調査書の評定の合計に、各高校が選択し教育委員会が決定した倍率をそれぞれ乗じて合計し総合点とします。

各教科の評定は50点満点
(3学年の評定×6+2学年の評定×2+1学年の評定×2)

大阪府 令和5年度公立高等学校入学者選抜

受験の不利を克服するには

調査書(内申書)の評定を上げることが鍵となります。

調査書は、学校の成績とほぼ同じ内容ですが、学校によって評価基準が異なる場合があるため注意が必要です。

評定を上げるための最善策は、現在通っている学校の先生に評価基準について直接確認することです。

学校によって独自の評価基準を設けている場合もあるため、先生から具体的なアドバイスをもらうことが確実かつ最短距離となります。

調査書(内申書)について詳しく知りたい方は、以下のサイトが参考になります。

塾探しの窓口 【高校受験】調査書(内申書)とは?高校受験との関係性を解説

調査書(内申書)の評定を上げるためのポイント

調査書(内申書)の評定は、学校によって評価基準が異なるため、一概にこれが正解とは言えません。

しかし、学校の成績と密接に関係しているため、学校の成績を向上させることが結果的に調査書への良い影響につながります。

多くの学校では、テスト(中間テスト、期末テスト、実力テスト)の点数や提出物(問題集、配布プリント、授業ノート、実技教科の作品など)の提出状況などを参考に評定を決定しています。

以前は、授業に出ていない生徒には評定を付けない学校もありましたが、現在はほとんど見られません。

代わりに、出席していない授業のプリントやノートを提出できない場合は、成績が付けられないという学校が増えています。

調査書(内申書)については、より詳しくしりたい人は、こちらの記事を参考にしてください。

不登校への配慮は?

学校の成績や調査書(内申書)は、学校全体で決めており、個別の状況に合わせて柔軟に調整するのは難しいのが現状です。

テストの点数や提出物で成績を判断するのは、教員にとっても分かりやすく、生徒間で公平性を保ちやすいという理由からです。

しかし、学校が決めた評価基準に沿って努力することで、不登校であっても十分に成績を上げることができます。

また、不登校生徒への配慮を行っている学校も少しずつ増えてきています。

不登校だからといって諦めずに、積極的に学校に相談することが大切です。

実際に不登校でも公立学校に進学できた生徒

すべてのケースに当てはまるわけではありませんが、不登校から公立高校に進学した生徒の話をご紹介します。

少しでも参考になれば幸いです。

自学自習で頑張ったAさん

不登校の中学1年生から、テストと提出物で成績をしっかりと評価してもらっていたAさん。

驚くべきことに、テストでは平均90点以上を叩き出し、常に4~5の成績を維持していました。

Aさんは場面緘黙と対人恐怖症を抱えており、塾や家庭教師は苦手だったため、 ほぼ独学で学習していました。

学校には通っていましたが、基本的には別室登校で、先生がたまに教えてくれる程度だったようです。

Aさんの学習方法は、教科書を読みながら自分で学習を進め、学校のプリントや問題集を解くというものでした。

Aさんが公立高校に進学できたのは、 保護者の方の早い対応と本人の努力が要因だったと考えられます。

Aさんは中学校進学前から別室での学習について学校に相談しており、学習環境も本人が集中しやすいように整えてあげたとのことです。

しかし、やはり一番の功労者はAさん自身です。

不登校という状況の中でも、強い意志を持って学習に取り組んだAさんの努力は、多くの人にとって励みとなるでしょう。

今回の事例のように不登校だからと言って諦めることなく、いろんな方法でその子に合ったやり方を見つければ、明るい未来を切り開くことができます。

保護者のサポート方法

上記の内容を踏まえ、不登校の子どもを公立高校へ導くために、親ができるサポートについてまとめました。

学校と協力する

不登校のお子様の高校進学において、学校との連携は欠かせません

学校は、お子様の学習状況や性格、進路希望などを把握しており、適切なアドバイスやサポートを提供してくれます。定期的に担任の先生や進路指導の先生と面談を行い、お子様の状況を共有し、進学に関する相談をしましょう。
面談を通して、学校の先生方との信頼関係を築くことも大切です。

また、学校によっては、不登校の生徒に対する学習サポートを提供している場合があります。
家庭学習の進め方や教材選び、補習授業など、お子様に合ったサポートを相談してみましょう。
さらに、学校には、様々な高校の入試情報や説明会、体験入学などの情報が集まっています。
積極的に情報収集を行い、お子様の進路選択に役立てましょう。

インターネット上には、不登校の高校進学に関する様々な情報がありますが、お子様に最適な進路は一人ひとり異なります
インターネットの情報も参考にしながら、学校の先生方と連携し、お子様に合った高校選びを進めていきましょう。

学校との協力体制を築くことで、お子様の進学を成功に導くことができます。
お子様の将来のために、積極的に学校と連携し、高校進学をサポートしていきましょう。

学校見学・オープンスクール

学校選びで最も重要なのは、実際に学校を見学することです。

通信制の場合は、通学する際の交通手段も確認しておきましょう。

通信制高校は利便性を重視して、県内の中心地に校舎を構えていることが多いです。実際に一人で通学できるかどうかをイメージすることが重要です。

以前担当していた生徒は、通信制高校の校舎を見て、「想像していた学校と違う」と感じたことで志望校を変更しました。

生徒は、学校といえば校舎が広い敷地にあると思っていたのに、実際はビルの中にあったことがイメージと違ったようです。

学校見学やオープンスクールは、その学校のことがわかる情報が豊富です。

本人や保護者が積極的に情報収集し、行動することが大切です。

子どもと一緒に夢を膨らませよう

不登校のお子さんの進学をサポートする上で、私が最もおすすめしたいのは、学校見学やオープンスクールへの参加です。

学校生活のイメージが湧きにくい不登校のお子様にとって、実際に学校を訪れることは大きな一歩となります。

高校に通っている自分を想像することも難しいと感じる生徒も多いですが、見学を通して楽しそうな雰囲気に触れることで、前向きな気持ちになれるケースが多いです。

予約や移動の手間はかかりますが、お子さんの将来のためにできる限りのサポートを心がけましょう。

親子で協力して、我が子に合った高校進路を見つけよう!

不登校だからといって、高校進学の選択肢やサポートが大きく異なるわけではありません。

通っている学校と協力して、学校見学などを親子で一緒に参加することで、高校生活のイメージを具体化することができます。

そして、お子様に合った高校を見つけて、受験に向けて頑張っていきましょう。

今回のブログ記事が、少しでも参考になれば幸いです。

気になることや質問があれば、X(旧Twitter)のDMや公式LINE、お問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。

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