内申書(調査書)って何?子どもの進路にどう影響するの?元教員がわかりやすく解説

「うちの子、内申書大丈夫かしら?」

お子さんの進路を考え始める時期、特に高校受験を控えた親御さんにとって、「内申書(調査書)」という言葉は、期待と不安が入り混じる、ちょっと複雑な響きを持っているのではないでしょうか?

内申書は、中学校での成績や生活態度をまとめた書類で、高校受験において重要な役割を果たします。

しかし、具体的にどんな内容が書かれるのか、子どもの進路にどう影響するのか、意外と知らないことも多いですよね。

そこで今回は、元教員である私が、内申書の仕組みや内容、そして知っておくべきポイントをわかりやすく解説します。

この記事を読めば、内申書に関する不安や疑問が解消され、お子さんの進路選択を安心してサポートできるようになるはずです。

目次

高校入試の合否を左右する「内申書」って一体なに?

高校入試には、筆記試験だけでなく、中学校の先生方が作成する「内申書(正式名称:調査書)」も大きく影響します。

特に公立高校では、内申点が合否を分けることも少なくありません。

今回は、内申書について詳しく解説していきます。

内申書(調査書)ってどんな書類?

中学校の先生方が生徒一人ひとりの学習状況や学校生活の様子を詳細に記録したものです。

高校入試において、合否判定に大きく影響を与える重要な資料となります。

内申書は単なる成績表ではなく、生徒の3年間の中学校生活における総合的な評価を記した書類と言えます。
高校側にとっては、入学後の学習意欲や学校生活への適応能力を測るための貴重な情報源となります。

内申書には何が書かれているの?

内申書には、以下の5つの項目が記載されています。

  • 各教科の成績: 5段階評価で、3年間の成績が記載されます。
  • 特別活動の記録: 生徒会活動、学校行事への参加状況、部活動などが記載されます。
  • 出欠状況: 欠席、遅刻、早退の日数が記載されます。
  • 総合的な学習の時間の記録: 探究活動やボランティア活動などが記載されます。
  • 総合所見: 生徒の学習態度や性格などが記載されます。

内申書と調査書って何が違うの?

内申書と調査書、どちらも同じ書類を指す言葉ですが、実は微妙なニュアンスの違いがあります。

正式名称は「調査書」です。
これは、中学校の先生が生徒の学習状況や学校生活の様子を調査し、その結果をまとめた書類であることを示しています。客観的な事実を記録することに重きが置かれていると言えるでしょう。

一方、「内申書」は、「内申」という意味のとおり内々に申し述べること、つまり志望校に内々に送る書類ということで「内申書」と呼ばれます。
生徒の能力や適性を評価する側面が強調された呼び方と言えるでしょう。

つまり、調査書は書類そのものを指すのに対し、内申書は書類の役割や使われ方に焦点を当てた言葉と言えるでしょう。

一般的には、中学校の先生や教育関係者は「調査書」という正式名称を使うことが多い傾向にあります。一方、生徒や保護者、塾関係者など、高校入試を意識する人たちは「内申書」と呼ぶことが一般的です。

内申書の中身、詳しく教えます!

内申書って、一体どんなことが書かれているか気になりますよね。

ここでは、内申書の内容を5つの項目に分けて、それぞれ詳しく解説していきますね。

各教科の成績

お子さんが学期末や年度末に受け取る通知表、覚えていますか?

内申書の成績は、基本的にその通知表の成績とほぼ同じ5段階評価で書かれます。

国語や数学などの主要5教科だけでなく、体育や音楽などの実技4教科も含まれるので、合計9教科の成績が記載されます。

特別活動の記録

生徒会や部活動に参加しているお子さんの場合は、その活動内容が記録されます。

ただ、ほとんどのお子さんは1~2行程度の記載なので、あまり個人差は出ません。

出欠状況

中学1年生から3年生までの欠席、遅刻、早退の日数が記録されます。

これも通知表に書かれている内容とほぼ同じで、理由などは書かれません。

近年では、不登校の生徒への配慮ということで、この欄を書かないという都道府県も出てきています。

総合的な学習の時間の記録

総合的な学習の時間でどんなことを学んだのかが記録されます。

内容はほとんどのお子さんで似たり寄ったりなので、特別な活動をしていない限り、あまり詳しいことは書かれません。

総合所見

担任の先生が、お子さんの学校生活の様子などを記録する欄です。

基本的には良いところに焦点を当てて書かれており、パターンも決まっているので、他の生徒とそこまで大きな差はありません。

内申点の計算方法は地域によってこんなに違う!

内申点は、都道府県や学校によって計算方法が異なるってご存知でしたか?

例えば、中学1年生から3年生までの内申点を使う地域もあれば、3年生の成績しか使わない地域もあります。

また、5教科だけの内申点を使う場合もあれば、体育や音楽などの実技教科も含める場合もあります。

配点も地域によって異なり、同じ教科でも点数に差があることもよくあります。

内申点は高校受験の合否に大きく影響するので、受験する都道府県の教育委員会のホームページで、計算方法を必ず確認するようにしましょう。

大阪府と京都府の例

ここでは、大阪府と京都府を例に、内申点の計算方法の違いを説明します。

大阪府の場合

  • 中学1年生から3年生までの内申点を使います。
  • 1年生と2年生の配点は90点、3年生は270点と、学年によって配点が異なります。
  • 9教科すべての配点は同じです。
  • 志望校によって、内申点の比重が変わります。

京都府の場合

  • 中学3年生の内申点のみを使います。
  • 5教科(国語、数学、英語、理科、社会)の配点は100点、実技4教科(音楽、美術、保健体育、技術・家庭)は150点と、教科によって配点が異なります。
  • 社会と理科は、中学1年生と2年生の内申点も参考にされることがあります。

このように、同じ関西でも計算方法が大きく異なるので注意が必要です。

内申書は子どもの高校選びにどう影響するの?

高校入試には、筆記試験の点数だけでなく、内申書も大きく関わってきます。

ここでは、内申書が高校選びにどう影響するのか、詳しく解説していきますね。

公立高校の場合

公立高校の入試では、内申書に記載された内申点と筆記試験の点数が合否に影響します。

内申点は、中学校3年間の各教科の成績を5段階で評価したもので、高校入試において大きな比重を占めます。
筆記試験の点数に加えて、内申点も合否を分ける重要な要素の一つとなるため、日々の学習態度や定期テストの成績が重要になってきます。

特に、推薦入試の場合は、筆記試験がなく、内申書の内容や面接、小論文などで合否が決まるため、内申書がより重要になります。
推薦入試では、内申点だけでなく、生徒会活動や部活動などの特別活動の記録、ボランティア活動への参加状況なども参考にされます。

私立高校の場合

私立高校の入試において、内申書が果たす役割は、一般入試と推薦入試で大きく異なります

一般入試の場合、ほとんどの私立高校では、内申書は合否に直接影響しません。
選考基準は主に当日の筆記試験の点数となり、内申点は参考程度にしか見られないことが多いです。

一方、推薦入試の場合は、内申書の内容が合否判定において重要な役割を果たします。
推薦入試では、公立高校と同様に筆記試験が免除される代わりに、内申点に加えて、面接や小論文、活動実績などが総合的に評価されます。
内申点は、生徒の学力だけでなく、学習態度や学校生活への取り組み姿勢なども反映するため、推薦入試においては特に重視される傾向にあります。

また、私立高校の中には、内申点だけでなく、欠席日数や遅刻回数なども選考基準に含める学校があります。
特に、一定以上の欠席日数があると、受験資格が得られない、あるいは選考において不利になる場合があります。

したがって、私立高校への進学を検討している場合は、志望校の募集要項を必ず確認し、内申書や出欠状況に関する規定を把握しておくことが重要です。

不登校の場合は?

公立高校を受験する場合、内申書は合否判定において非常に重要な役割を果たします。
しかし、不登校になってしまうと、授業への出席やテストの受験、提出物の提出が難しくなり、内申書に記載される学習記録に影響が出てしまう可能性があります。

内申書は、基本的に授業への参加度や提出物の状況、定期テストの成績などを通して評価されます。
そのため、不登校によってこれらの要素が欠けてしまうと、評価が低くなってしまう可能性があります。
特に、主要5教科の成績は内申点に大きく影響するため、長期的な不登校は内申点の低下に直結する可能性があります。

ただし、不登校だからといって必ずしも内申書が不利になるわけではありません
学校によっては、出席状況に関わらず、提出物やレポート、オンライン授業への参加などを通して学習状況を評価してくれる場合もあります。
また、特別な事情がある場合は、個別に配慮してくれる学校もあります。

また、近年では、不登校経験者を積極的に受け入れる高校も増えてきています。
これらの高校では、内申点だけでなく、生徒の個性や能力、学習意欲などを総合的に評価する入試制度を設けている場合があります。

不登校になってしまった場合でも、諦めずに、自分に合った高校を見つけるために、情報収集や相談を積極的に行いましょう。周囲のサポートを受けながら、自分のペースで学習を進め、高校進学への道を切り開くことができます。

内申書で失敗しない!高校選びの選択肢を広げるためにできること

高校受験において、内申書は合否を大きく左右する重要な要素です。

ここでは、内申書で損をしないための対策を具体的に解説していきます。

定期テストで高得点を狙う!

内申書の成績は、基本的に通知表の成績に基づいてつけられます。

通知表の成績は、中間テストや期末テストなどの定期テストの結果が大きく影響します。

つまり、定期テストで高得点を取ることができれば、内申点も自然と高くなります。

ほとんどの都道府県では、中学1年生からの内申点が考慮されるため、早いうちから定期テスト対策をしっかり行いましょう。

授業態度や提出物も大切!

定期テストの次に重要なのが、普段の授業態度や提出物です。

定期テストの重要性を8とすると、提出物の重要性は2くらいです。

最近は、「授業態度」という曖昧な評価基準ではなく、ノート提出や確認テストなどで授業への参加度を測る学校が増えています。

先生に気に入られるかどうかではなく、学校が定めた基準を満たすことが大切です。

成績評価の基準が気になる場合は、遠慮なく学校の先生に相談してみましょう。

学校行事や部活動は推薦入試で有利になることも

学校行事や部活動への参加は、基本的に内申点には影響しません

ただし、推薦入試の場合は、部活動や生徒会活動での実績が評価されることがあります。

推薦入試を考えている場合は、積極的に学校活動に参加することも検討してみましょう。

先生とのコミュニケーションを大切に

内申書の評価基準は、学校ごとに定められていて、先生方はその基準に従って公平に評価します。

ですから、「先生と仲良しだから内申点が上がる」なんてことは残念ながらありません

もし、そんなことがあれば、先生は処分されてしまいます。

しかし、だからといって先生と距離を置くのはNG。

日頃から先生とコミュニケーションをとることは、とても大切です。

成績の付け方や受験に関する疑問があれば、先生に相談するのが一番です。

先生との信頼関係を築くことで、お子さんの学校生活や受験をスムーズに進めることができるでしょう。

先生を味方につけて、高校受験を乗り切りましょう!

内申書のルールは地域によって違う!早めの確認が大切

高校受験で内申書がどのように使われるかは、実は都道府県によって違います

中学校に入学したら、なるべく早くお住まいの地域のルールを確認しておきましょう。

どうやって調べればいいの?

各都道府県の教育委員会のホームページに、内申書の取り扱い方が載っています。

もし、ホームページを見てもよく分からない場合は、内申書について詳しく解説している塾のサイトを参考にしたり、教育委員会や学校の先生に直接問い合わせてみましょう。

不登校や特別な事情がある場合は?

不登校の場合、どうしても内申書が不利になってしまうことがあります。

でも、諦める必要はありません。

まずは学校の先生に相談してみましょう。

学校によって成績の付け方は様々なので、担任の先生に相談して、

  • どのような基準で成績がつけられるのか
  • 内申点を上げるために何ができるのか
  • 定期テストを別室で受験できるか、後日受験できるか

などを確認し、対策を一緒に考えてもらいましょう

先生との連携がカギ

内申書だけでなく、学校への復帰や高校受験に関することなど、気になることは何でも先生に相談してみましょう。

先生と連携をとることで、お子さんに合ったサポートを受けられるはずです。

お子さんの状況に合わせて、安心して高校受験に臨めるよう、早めに行動を起こしましょう。

高校入試の内申書、これでバッチリ!

今回は、高校入試で合否を大きく左右する「内申書」について、詳しく解説しました。

内申書のルールは、実は都道府県によって大きく異なります。

お子さんが中学生なら、志望校がある地域の内申書の仕組みを、必ず確認しておきましょう。

内申書のルールは、数年でガラリと変わることもあるので要注意!

日頃から、高校入試に関するニュースにアンテナを張っておくことをおすすめします。

もし、分からないことがあれば、学校の先生や教育委員会に相談してみるのが一番です。

この記事が、少しでもお役に立てば嬉しいです。

私は大阪府枚方市で、不登校や発達障害のあるお子さんに寄り添う、完全個別指導の学習塾を運営しています。

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