「勉強しなさい」は逆効果!大人がつい言ってしまう子どものやる気を奪う言葉と間違った方法
「勉強しなさい!」
「もっとできるよ!」
ついつい口から出てしまうこれらの言葉、 実は子どものやる気を奪っているかもしれません。
子どものことを思って言っていたとしても、その言葉は時に子どもの心を深く傷つけ、自信を奪ってしまうことも。
もしかしたら、あなたも心当たりがあるのでは?
この記事では、つい言ってしまいがちな「子どものやる気を奪う言葉」とその理由、そして、どのような接し方をすれば子どものやる気に繋がるのか。
元教員のはなまるが解説していきます!
子どものやる気を奪ってしまう大人
みなさんも、何か頑張ろうとした時に親や先生から何気ない一言をかけられて、やる気を失った経験はありませんか?
例えば、これから勉強しようと思っていた時に親から「勉強しなさい」と言われて、ガクッときた、など。
このような周囲からの何気ない一言や、権威を誇示するための言動によって、やる気を奪われた経験がある方は多いのではないでしょうか。
今回は、どんな言葉がやる気を奪うのか、またその理由について解説していきます。
余計な言葉かけをする理由
子どもを心から愛し、その成長を願うからこそ、つい「余計な言葉」をかけてしまうことがあります。
決して、悪意を持って子どもを傷つけようとしているわけではありません。
むしろ、よかれと思って、子どもを励ましたり、導こうとしたりする親心から発せられる言葉であることが多いのです。
では、なぜそんな「余計な言葉」が生まれてしまうのでしょうか?
それは、大人の心に潜む「不安」が大きく関係しています。
「このままでいいのか?」「何か言ってあげないと、子どもは変われないのではないか?」
子どもが壁にぶつかった時、失敗した時、あるいは、期待通りの成果を出せなかった時、大人はつい焦ってしまいます。
そして、その焦りが、「もっと頑張りなさい」「なぜできないの?」といった、子どものやる気を削ぐ言葉となって表れてしまうのです。
また、大人自身が過去に経験した失敗や挫折が、余計な言葉を生み出す原因となることもあります。
過去の自分と子どもを重ね合わせ、「同じ轍を踏んでほしくない」という思いから、つい先回りしてアドバイスをしてしまったり、過度な心配をしてしまったりするのです。
このように、大人の「余計な言葉」は、決して悪意から生まれるものではありません。
むしろ、子どもへの愛情や期待、そして、社会に対する不安が複雑に絡み合って生じるものです。
「もっと勉強しなさい」がダメな理由
子どもによく言ってしまう言葉ランキングで上位に来るであろう言葉、「もっと勉強しなさい」。
ここでは、なぜ「もっと勉強しなさい」が言ってはいけないのかを説明します。
もしあなたが周りから毎日「太っているからもっと痩せなさい!」と言われたらどう思いますか?
そんなことを言われ続けたら、殺意に近いものが芽生えてもおかしくありません。
これは子どもも同じように感じます。
勉強しなければいけないことは十分わかっています。
それなのに毎日「勉強しなさい」と言われると、怒りがこみ上げてきます。
これが「もっと勉強しなさい」と言ってはいけない理由です。
大人がお手本となるのが良い
ダイエットを例に考えてみましょう。
女性がダイエットを決意するきっかけは様々ですが、その中には「好きな人に好かれたい」「モデルのように痩せたい」といった憧れが含まれることも多いでしょう。
しかし、重要なのは、これらの動機が「誰かに言われたから」ではなく、「自分自身がそうしたい」という内発的な欲求から生まれている点です。
他人に「痩せなさい」と言われてダイエットを始める人は少ないでしょうし、むしろ反発心を抱くかもしれません。
これは、勉強においても同じことが言えます。
子どもが自ら机に向かうのは、親に「勉強しなさい」と命令されたからではなく、もっと根本的な動機があるはずです。
例えば、「将来、こんな職業に就きたい」「好きなことをもっと深く知りたい」「尊敬する人に近づきたい」といった、自分自身の夢や目標と結びついている場合が多いのではないでしょうか。
だからこそ、親が子どもに「勉強しなさい」と口うるさく言うよりも、自ら学ぶ姿勢を見せることの方が、はるかに効果的です。
親が読書を楽しむ姿、新しい知識を吸収しようとする意欲、仕事や趣味に打ち込む情熱…そうした姿を子どもは自然と目にし、心に刻み込みます。
そして、「自分もあんな風になりたい」「もっと知りたい、学びたい」という気持ちが芽生え、自ら学ぶ意欲へとつながっていくのです。
子どもは、親の言葉よりも、親の行動をよく見ています。
だからこそ、親は子どもにとって「なりたい自分」の理想像となるよう、常に意識することが大切です。
それは、子どもに「勉強しなさい」と言うよりも、はるかに難しいことかもしれません。
しかし、親が自ら学び、成長し続ける姿勢を見せることこそが、子どもを本当の意味で励まし、彼らの未来を切り拓く力となるのです。
勉強前にいろいろ言うのもNG
子どもが勉強を始めようとしているときにあれこれ言い過ぎるのも逆効果です。
もしこれから勉強をしようとやる気を出している子が、親から「宿題したの?勉強しなさい」と言われたら、出鼻をくじかれた格好になります。
子どもは「そんなこと言われなくても分かっている」と言い返したくなるでしょう。
特に親に反抗したい思春期の子どもの場合、そのまま勉強してしまうと親の指示に従ったことになるので、勉強を頑なにしないということもありえます。
つい言ってしまうNGワード
「もっと勉強しなさい」以外にも、言ってはいけないNGワードはたくさんあります。
いくつか紹介していきましょう。
「でもな…」「それは君にも…」
代表的なNGの声かけの一つに、「でもな…」「それは君にも…」があります。
子どもが大人に自分の言い分を聞いてほしいと、時には必死に、時にはポツリポツリと話し始めることがあります。
子どもの支援の一つとして、「子どもの話をよく聞いてあげる」というのは有名ですが、本当の意味で子どもの話を聞いてあげているケースは少ないのではないでしょうか。
実際は、親は子どもの話を聞いているつもりで途中で割り込んで自分の意見を話したり、説教したり、叱ったり、自分の考えを子どもに押し付けてしまうケースが多いです。
よくある学校での出来事
例えば、ある生徒が勉強や学校生活、友達との人間関係で悩んでいることを担任の先生に話し始めました。
教師はそれを最後まで黙って聞いていました。
そして聞き終わった後、「それはしんどかったな。君の気持ちはよく分かった」と答えました。
生徒も話を分かってもらえて安堵の表情をしていましたが、教師はその後にこう続けました。
「でもな、それは君にも問題があるんじゃないのか?」
それを聞いて生徒はがっかりした表情になり、それ以降何も話さなくなりました。
子どもは話を聞いてほしかった
この事例から分かるように、子どもは大人に自分の辛さや悩みを聞いてほしいだけなのです。
大人は子どもから話を聞くと、何かアドバイスや助言をしたくなります。
しかし、ほとんどの場合は、自分の大変さや辛さを理解してほしいだけなのです。
大人の余計な一言のせいで、子どもは心を閉ざしてしまいます。
まさに、子どもがこれから変わって頑張ろうとしているところのやる気を奪ってしまうのです。
「もっとできるはすだ」
子どもが少し頑張った後に、大人がもっと伸ばしてやろうと期待して、「もっとできるはずだ。もっと頑張れ」と子どもに声をかけることがあります。
しかし、これも子どもに言ってはいけないNGワードです。
子どもは既に限界まで頑張ったのかもしれません。
それなのに「もっと頑張れ」と言われたらどう感じるでしょうか。
子どもの気持ちとしては、「どこまで頑張れば認めてもらえるのか」「終着点が見えず、不安になってやる気を失う」といったことがあるかもしれません。
子どもによっては、そつなくこなして余裕がありそうに見えるかもしれません。
だからといって子どもをもっと頑張らせようとするのは、大人の一方的な思い込みかもしれません。
子どもからすれば、「自分のペースを知ってほしい」「もっとありのままの自分を見てほしい」という気持ちになっているかもしれません。
ある大学の先生の話
ある大学の先生は、子どもの頃から優秀で、何でもできました。
そのため、親や先生から「もっとできるはずだ」と言われ続けたそうです。
やってもやっても次々に色々な課題を与えられ続けました。
そうした経験から、一番嫌いなことは「人から期待されること」とのことでした。
期待されると逃げ出したくなるそうです。
できる人はどうしても周りから期待されてしまいますが、過剰な期待は周囲のエゴでもあり、その人からやる気を奪う可能性があります。
「だから言った通りでしょ」
親や大人の言うことを聞かずに子どもが何かにチャレンジして、結果失敗した時、周囲の大人は「だから言った通りでしょ」と言ってしまうことがあります。
大人は子どもに「やったらできる」といった成功体験を持たせようという思いがありますが、その思いが強すぎると逆に「子どもに失敗させたらダメだ」と考えてしまい、無茶をさせないようにします。
大人としてはハラハラするし、不安や苛立ちを感じます。
そういった子どものチャレンジに何か一言言いたくなってしまうのも無理はありません。
特に少し危ないような場合にはなおさらです。
でも、親の意に反して子どもが何かにチャレンジして失敗してしまっても、「だから言った通りでしょ」とダメ出しをするのは逆効果です。
何かにチャレンジして失敗した場合、一番辛いのはその子ども自身です。
子どもとしては、ダメだった自分を逆に慰めてほしいという気持ちもあります。
しかし実際は、慰められるどころかダメ出しされ、傷ついてしまいます。
すると、「だったらもうやらないでおこう」とやる気をなくしてしまうことにもつながってしまうのです。
このような余計な一言が、子どものやる気を奪ってしまうのです。
褒める教育
言ってはいけないNGワードと同じで、褒め言葉だと思って言っている言葉でも逆効果になることがあります。
今回は、そんな間違った褒め言葉について解説していきます。
場違いな褒め言葉
子どもを褒めることは、彼らの成長を促す上で大切なコミュニケーションの一つと言えるでしょう。
しかし、褒め方によっては、子どものやる気を削いでしまう可能性があることも忘れてはいけません。
それが「場違いな褒め言葉」です。
褒め言葉は、子どもの成長をサポートする上で有効な手段ですが、使い方を誤ると逆効果になる可能性があることを心に留めておきましょう。
大切なのは、子どもの状況や気持ちをしっかりと理解し、適切なタイミングで、心からの言葉をかけることです。
そうすることで、彼らの成長を力強く後押ししてくれるはずです。
褒め言葉は関係性が大事
例えば、あなたが嫌いな人を一人思い浮かべてみてください。
その人から褒められたとしたらどう思いますか?
あなたがたまたまゴミを拾っているところを見られて「君は素晴らしい」と褒められたとしたら、嫌味にしか聞こえないでしょう。
では、同じことをあなたが尊敬する人に言われたらどうでしょうか。
あなたは一生懸命努力し、やっとの思いで成し遂げたことや、汗だくになって達成したことに対して、尊敬する人から「君は素晴らしい」と一言褒められたら、心に響くでしょう。
褒め言葉が相手の心に響くかどうかは、誰から、どういう時に言われるかというのが重要になってきます。
相手の状況も大切
相手の状況を知らずに褒めることも、逆効果になることがあります。
例えば、子どものことで色々悩んでいるので、学校の先生に「うちの子はこんなに大変なんです」といった感じで相談したとします。
そうすると先生から「◯◯君はとてもいい子ですよ。優しいところもあって、最近では勉強も頑張っています」と言われたらどう感じますか?
タイミングによっては嬉しく感じるかもしれませんが、この相談をしたときに言われると「この先生は息子のことを何もわかっていない」と不信感を持つこともあります。
このように、褒めるということでもタイミングが重要なのです。
子どもとの正しい接し方
大人は、つい子どもに対してあれこれ言ってしまうことがあります。
しかし、それが結果的に子どものやる気を奪ってしまうことも…。
大切なのは、子どものことをよく理解しようと努め、子どもを信頼し、認めてあげることです。
見守ることは、思っている以上に大変なことかもしれません。
でも、余計な一言でやる気を奪ってしまうよりも、見守る方が大切だと思いませんか?
この記事が、少しでも皆さんのお子さんとの関係をより良いものにするヒントになれば幸いです。
今回のブログ記事が、少しでも皆様の参考になれば幸いです。
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