発達障害と不登校の関係|小中学生への影響と対応を元教員が解説

お子さんが学校に行きたがらない――その背景に、発達障害の特性が関係していることは珍しくありません。
- 発達障害は、どうして不登校につながりやすいの?
- 小学生・中学生で、どんな影響が出るの?
- 家庭では、どう対応すればいい?
この記事を読むと、次のことがわかります。
- 発達障害と不登校の関係(データと、つながる仕組み)
- 発達障害のある子が学習でつまずきやすい理由
- 長時間授業が子どもにもたらす負担
- 家庭でできる対応と、相談できる場所
私は元中学校教員・元特別支援学校教員として、多くの不登校の子どもたちと関わってきました。
その経験から、発達障害と不登校のつながりと、保護者ができる関わり方をお伝えします。
なお、発達障害は「治す」ものではなく、特性を理解して環境を整えていくものです。
気になる場合は、専門機関にご相談ください。
お子さんが中学生で高校進学が気になり始めたら、『不登校の高校受験はどうなる?大阪の選択肢と対策』もあわせてご覧ください。

発達障害とは?(3つのタイプ)

発達障害は、大きく3つのタイプに分けられることが多く、それぞれ特性が異なります(重複したり、特性に強弱があったりもします)。
| タイプ | 主な特性 | くわしくは |
|---|---|---|
| ASD(自閉スペクトラム症) | 臨機応変な対人関係が苦手、こだわりが強い、感覚が極端に敏感/鈍感なことがあります | ASDとは? |
| ADHD(注意欠如・多動症) | 不注意(うっかりミス・忘れ物)、多動性・衝動性が見られることがあります | ADHDの学習サポート |
| LD(学習障害) | 知的発達に遅れはないものの、「読み・書き・計算」のいずれかが苦手なことがあります | 学習障害とは? |
各タイプの詳しい特性は、上の記事をご覧ください。
家庭でできる勉強のサポートは発達障害の子の勉強方法にまとめています。

ここからは、発達障害と不登校の関係に絞ってお話しします。
発達障害と不登校の関係(データで見る)

福島県の公立小・中・高校を対象にした調査(中野明德, 2009)では、不登校の児童生徒のうち、発達障害が疑われる子どもの割合は、小学生で16.1%、中学生で7.9%、高校生で13.3%だったと報告されています。
これは学校が把握できた最低限の数字で、実際の割合はこれより多い可能性があるとも指摘されています。
不登校になる理由はさまざまですが、発達障害の特性によって、勉強が追いつかなかったり、友達とのコミュニケーションがうまくいかなかったり、いじめを受けてしまったりすることがあります。
こうした困りごとが積み重なって生じる二次障害が、不登校につながるケースは少なくありません。

発達障害のある子が、なぜ不登校につながりやすいのか

不登校になる理由は一人ひとり異なります。
私がこれまで担当した生徒も、不登校になる前は部活に熱心だった子、友達と休日を楽しんでいた子など、さまざまでした。
けれども不登校をきっかけに、部活を辞めたり、友達と遊ばなくなったりするケースも少なくありませんでした。
多くの不登校の子に共通する「勉強」の悩み
理由はさまざまでも、多くの不登校の生徒が共通して抱えていたのが「勉強」の悩みです。
学校を1か月休むだけでも、授業はどんどん進みます。
教科書の内容は積み重なるため、一度遅れると、その後の授業を理解するのが難しくなります。
不登校が長引くほど遅れは大きくなり、「どこから勉強すればいいかわからない」「授業についていけない」という焦りと不安が生まれます。
この不安は、学校に戻ることをさらに難しくします。授業についていけないことで自信を失い、自己肯定感が下がってしまうことも。
友達との学力差に孤立感を深めたり、戻ったときに遅れを取り戻すプレッシャーを感じたりすることもあります。
だからこそ、学習の遅れへの適切なサポートが欠かせません。
発達障害の特性が、学習をさらに難しくする
発達障害のある生徒にとって、不登校による学習の遅れは、より深刻になりやすい面があります。
特性が学習の妨げになり、困難を大きくしてしまうことがあるからです。
- 集中が続きにくい:授業中に集中を保ちにくく、話を聞き逃したり、課題の途中で気が散ったりして、内容を十分に理解できないことがあります。
- 忘れやすい:宿題やテスト範囲を覚えられなかったり、計算の途中で手順を忘れたりすることがあります。
- 理解にゆっくり時間がかかる:新しい情報の理解や複雑な問題に時間がかかり、授業のペースに置いていかれたと感じることがあります。
- 板書を写すのが苦手:写すのに時間がかかる、誤字脱字が多い、要点を見逃すなど、ノートにまとめるのが難しいことがあります。
長時間授業が大きな負担になる
中学校では、毎日6時間もの授業があります。
大人でも長く感じる時間で、成長過程の子どもには大きな負担です。
興味のないことや理解できないことを長時間聞き続けるのは、大人でも苦痛です。
子どもは大人より集中が続きにくく、長時間授業で集中を保ち続けるのは大きな挑戦です。
集中が途切れると内容を理解しにくくなり、学習意欲の低下にもつながります。
長時間同じ姿勢で座り、話を聞き、板書を写すことは、身体的にも精神的にも大きな疲労になります。
特に感覚過敏のある生徒は、教室の環境(騒音・照明・座席の硬さなど)にストレスを感じやすく、疲労がたまりやすい場合もあります。
こうした状況が続けば、学校への苦手意識や不安が増し、不登校につながるのも自然なことと言えます。
ポイントを整理すると、次のとおりです。
- 不登校の理由は生徒によってさまざま
- 多くの不登校の生徒が勉強に悩みを抱えている
- 発達障害のある生徒は、学習面でさらに困難を抱えやすい
- 長時間授業が大きな負担になる
- これらが重なって、不登校につながることがある
発達障害と不登校の子への、家庭でのサポート

発達障害があり不登校のお子さんを持つ保護者へ、2つのサポートをお伝えします。
勉強面のサポート
近年、発達障害は少しずつ知られるようになり、対応経験のある先生や塾講師も増えています。
ただ、同じ診断名でも特性は一人ひとり大きく異なり、強弱もさまざまです。
私の経験でも、ASDの生徒を受け持ったことがある先生がいましたが、よく聞くとその生徒の特性はそれほど強くなく、学習への影響も小さかったようです。
それなのに「ASDだから大丈夫」と安易に考えてしまうのは、大きな間違いです。
知識や経験の伴わない指導は、かえってお子さんのストレスや苦手意識を強めてしまうことがあります。
お子さんの特性を理解し、適切に指導できる専門家から学習サポートを受けることが大切です。
保護者ができる「発達障害への理解」
保護者にとってまず大切なのは、お子さんの発達障害の特性を知ることです。
これまで理解できなかった行動が、特性を知ることで腑に落ち、接し方やサポートが変わって、自分自身にも余裕が生まれた――そんな保護者の声を多く聞きます。
もちろん、すべてを理解する必要はありません。
専門的な知識やサポートは、その都度専門家に相談することで負担を減らせます。
大切なのは、お子さんをできる限り理解し、寄り添うこと。少しでも理解しようと努めることが、お子さんに安心感を与えます。
これまで出会った不登校の生徒のなかでも、保護者がよく理解し、上手に寄り添っていたご家庭の子は、本当に安定していました。
「今は別室登校で少しずつ頑張り、高校では学びたいことを学びたい」と前向きに話す子も多かったです。
特性を理解し、適切に支えることで、不登校を乗り越え、自信を取り戻していけます。
発達障害について学べる情報源と相談先

発達障害をより深く理解したいときは、専門家への相談や書籍がおすすめです。
おすすめの書籍・漫画
書籍は手軽で情報量が多いのがメリットです。精神科医による客観的な視点と豊富な事例に基づくものは、特に参考になります。
- 本田秀夫『子どもの発達障害』:発達に不安や悩みを抱える保護者におすすめ。
- 岡田尊司『発達障害「グレーゾーン」』:発達障害未満の生きづらさと対策を解説(グレーゾーンは診断名ではありません)。
- 宮口幸治『ケーキの切れない非行少年たち』:境界知能の人々に焦点を当てた一冊。
漫画でわかりやすく解説したものもあります。
- 本田秀夫(著)/フクチマミ(マンガ)『マンガでわかる 発達障害の子どもたち』
- 宮口幸治(著)/佐々木昭后(作画)『マンガでわかる 境界知能とグレーゾーンの子どもたち』
専門知識がなくても理解しやすい内容なので、興味のあるものから手に取ってみてください。


相談できる場所
発達障害について相談できる場所には、次のようなところがあります。
- 医療機関:小児科・心療内科・精神科では診断や治療を、発達外来では医師・臨床心理士・言語聴覚士などのチームによるサポートを受けられます。
- 行政機関:市町村の相談窓口、児童相談所、保健センターなどで、相談や支援サービスの情報が得られます。
- 民間団体:NPO法人などが、情報提供や相談、交流会を行っています。同じ悩みを持つ保護者同士で交流できます。
- 学校:スクールカウンセラーや担任の先生に、学校での様子や学習・友達関係を相談できます。
まずは「子どもを理解する」ことから

当たり前のようですが、お子さんを理解してあげることこそが、安心と自信を与え、伸び伸びと成長させる第一歩です。
発達障害のあるお子さんは、周囲の理解を得にくく、孤独や不安を感じていることも少なくありません。
まずは特性や行動を少しずつ理解し、共感することが大切です。
障害の有無にかかわらず、安心できる環境で過ごせることが、お子さんの成長にとって何よりも重要です。
不登校の初期にどう動くか迷う場合は不登校の初期対応を、家での過ごし方は不登校 家での過ごし方を、学校での学びの場については通級・支援級・特別支援学校の選び方もあわせてご覧ください。



お子さんの不登校や発達のこと、勉強のことで気になることがあれば、いつでも気軽にご相談ください。
大阪府枚方市で、完全1対1の個別指導を行っています。

