自閉スペクトラム症(ASD)とは?特徴とアスペルガーとの関係を解説

「自閉スペクトラム症(ASD)って、どんな障害なんだろう?」
「アスペルガー症候群とは違うの?」
「うちの子、目が合いにくい・言葉が遅い気がする…もしかして?」

発達障害という言葉が広く知られるようになり、「自閉スペクトラム症(ASD)」や「アスペルガー症候群」という言葉を耳にする機会も増えました。
しかし、その特徴や、子どもへの接し方となると、わからないことも多いのではないでしょうか。

この記事では、元特別支援学校教員ではなたに塾の塾長である筆者が、実際の指導経験をもとに、以下の内容をわかりやすく解説します。

  • 自閉スペクトラム症(ASD)とは(アスペルガー症候群との関係も)
  • ASDの診断基準(DSM-5)
  • 乳幼児期に見られる早期サインと特徴
  • ASDの子どもの特性(コミュニケーション・こだわり・感覚過敏)
  • 子どもへの接し方と学校でのサポート
  • 将来の自立・進路・就労について

「障害」という言葉に不安を感じるかもしれませんが、特性を正しく理解し、その子に合った環境を整えることで、お子さんは伸び伸びと成長していけます。

その第一歩となる情報をお届けします。

目次

自閉スペクトラム症の概要

まずは自閉スペクトラム症という障害について解説していきます。

自閉スペクトラム症とは?

ASDは、発達障害のうちの1つで、自閉症、アスペルガー症候群、特定不能の広汎性発達障害などが含まれます。

【アスペルガー症候群とASDの関係】

かつては「自閉症」「アスペルガー症候群」「広汎性発達障害」などが別々の診断名として使われていました。しかし、2013年に改訂された米国の診断基準「DSM-5」以降、これらは「自閉スペクトラム症(ASD)」という1つの診断名に統合されました。

そのため、現在では「アスペルガー症候群」という診断名は正式には使われていません。
ただし、一般的には今でも「知的な遅れや言葉の遅れがないASD」を指す通称として「アスペルガー症候群」という言葉が使われることがあります。

主な特徴としては、以下の3つが挙げられます。

  • 社会的コミュニケーションの障害: 人とのコミュニケーションが苦手で、表情や声のトーンが理解しにくい、自分の気持ちを伝えにくいなどの困難さがあります。
  • 行動、興味が限定的でこだわりが強い: 興味のあることに集中し、決まった行動パターンを好み、変化を嫌がる傾向があります。
  • 感覚が敏感もしくは鈍感: 視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚などの感覚に対して、過敏または鈍感な反応を示すことがあります。

これらの特徴の程度は、人によって異なり、軽度なものから重度なものまで連続的に存在するため、スペクトラム(連続体)という言葉を用いて、自閉スペクトラム症という名称が付けられています。

発達障害には、ASDのほかに、注意欠如・多動性障害(ADHD)学習障害(LD)があります。
それぞれの特性について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

自閉スペクトラム症の診断基準

アメリカ精神医学会の診断統計マニュアル(DSM-5)では、自閉スペクトラム症は、以下の4つの診断基準に基づいて診断されます。

1.社会的コミュニケーションの障害

  • 社会的、情緒的な相互関係の障害: 人とのコミュニケーションが苦手で、表情や声のトーンが理解しにくい、自分の気持ちを伝えにくいなどの困難さがあります。
  • 他者との交流に用いられる非言語的コミュニケーションの障害: アイコンタクト、ジェスチャー、表情などの非言語的なコミュニケーションを理解したり、使ったりすることが苦手です。
  • 年齢相応の対人関係、仲間に対する興味関心などの欠如: 友達を作るのが苦手だったり、友達との関わり方がわからなかったりします。

上記のうち、3項目すべてに当てはまる必要があります。

2.行動、興味および活動の限局性ならびに反復的常同行動

  • 常同的で反復的な運動動作や物体の使用、あるいは話し方: 同じ動作を繰り返したり、同じ言葉やフレーズを繰り返し言ったりします。
  • 同一性へのこだわり、日常動作への融通のなさ、言語・非言語上の儀式的行動パターン: 変化を嫌がり、決まったやり方にこだわりを持ったり、決まった言葉やフレーズを使ったりします。
  • 集中度や焦点づけが非常に強く限定、固定された興味: 特定のことに強い興味を持ち、他のことに興味を示さないことがあります。
  • 感覚入力に対する敏感性あるいは鈍感性、あるいは感覚に関する環境に対する普通以上の関心: 音や光、匂いなどに敏感だったり、鈍感だったりすることがあります。

上記のうち、2項目に当てはまる必要があります。

3.症状は発達早期の段階で必ず出現するが、後になって明らかになるもの

4.症状は社会や職業その他の重要な機能に重大な障害を引き起こしている

また、近年では、レベル1からレベル3までの3段階の重症度で捉えようとする動きもあります。

自閉スペクトラム症の症状

上記の診断基準は、あくまでも目安であり、すべての自閉スペクトラム症の子どもに当てはまるわけではありません。

また、症状の強弱も個人差が大きいため、自閉スペクトラム症といっても、一人ひとりの特性は大きく異なります。

症状は、人によって程度や組み合わせが異なり、日常生活に支障が出る場合もあれば、そうでない場合もあります。

乳幼児期に見られるASDの早期サイン

ASDの特性は、早ければ生後6か月〜1歳頃から少しずつ現れることがあります。
保護者の方が「あれ?」と気づくきっかけになりやすいサインを、年齢別にご紹介します。

【0〜1歳頃に見られやすいサイン】
  • 目が合いにくい
  • 名前を呼んでも振り向かない、反応が薄い
  • あまり笑わない、表情が乏しい
  • 人見知りがなさすぎる、または極端に強い
  • 指差しをしない、指差した方向を見ない
【1歳半〜2歳頃に見られやすいサイン】
  • 言葉の発達がゆっくり
  • つま先歩きをする
  • 特定の物やおもちゃに強くこだわる
  • 手をひらひらさせる、体を揺らすなどの繰り返し行動
【2〜3歳頃に見られやすいサイン】
  • 一つの遊びに極端に没頭する
  • 遊びの順序や物の配置に強くこだわる
  • 抱っこや体に触れられるのを嫌がる
  • ごっこ遊びや友達との関わりが少ない
【重要】

これらのサインは、あくまで「気づきのきっかけ」です。当てはまる項目があっても、必ずASDというわけではありません。発達には個人差があります。気になる様子が3か月程度続く場合は、1歳6か月児健診などの機会に相談したり、小児科・児童精神科・自治体の子育て支援窓口・療育機関などに相談することをおすすめします。

日本では、1歳6か月児健診で「M-CHAT」という質問紙を使ったスクリーニング検査が推奨されており、早期発見の重要な機会となっています。
早期に気づき、適切な支援につなげることが、お子さんの将来にとって大きなプラスになります。

自閉スペクトラム症の子どもの特性

ここでは、自閉スペクトラム症の特性についてさらに詳しく解説していきます。

コミュニケーションの困難さ

ASDの特性の1つとして、社会的なやりとりやコミュニケーションの障害があります。

主な特徴としては、以下のものが挙げられます。

  • 人と目を合わせない: 人と話すときに、相手の目を見ることが苦手です。
  • 名前を呼ばれても反応しない: 名前を呼ばれても、すぐに反応できないことがあります。
  • 言葉に遅れがある: 他の同年代の子どもと比べて、言葉の理解や発達が遅れていることがあります。
  • 言われた言葉をそのまま繰り返す: 相手の言葉を理解せずに、そのまま繰り返し言ってしまうことがあります。
  • 相手や状況に合わせた行動をとるのが苦手: 相手の気持ちや状況に合わせて、自分の行動を変えることが苦手です。
  • 自己主張が強く一方的な行動が強い: 自分の意見や気持ちを主張しすぎて、相手を困らせてしまうことがあります。
  • 集団での活動、行動が苦手: 他の児童と一緒に遊ぶことや、集団で行動することが苦手です。
  • 相手の表情から気持ちを読み取れない: 相手の顔の表情を見て、喜怒哀楽などの感情を理解することが苦手です。
  • たとえ話を理解するのが苦手: 比喩的な表現や抽象的な概念を理解することが

これらの特徴は、人によって程度や組み合わせが異なり、幼少期から大人になるまで、徐々に変化していくこともあります。

また、これらの特徴以外にも、様々な症状が現れる場合があります。

興味や関心の偏り・こだわりがある

  • 自分に興味のあることだけに没頭する: 特定のことに強い興味を持ち、他のことに興味を示さないことがあります。
  • 興味関心の幅が狭く、特定のものごとに強い興味関心がある: 興味関心の幅が狭く、特定のものに強いこだわりを持つことがあります。
  • 同じものばかり食べる・偏食: 同じものを繰り返し食べたり、偏食があったりすることがあります。
  • いつも同じ服を着る: いつも同じ服を着たり、同じ服装を好んだりすることがあります。
  • 細部にこだわって最後までやり遂げるのが苦手: 細かいことにこだわって、最後までやり遂げることが苦手だったり、途中で放棄してしまうことがあったりすることがあります。
  • 自分なりのやり方やルールにこだわる: 自分に決まったやり方やルールがあり、それを守ろうとする傾向があります。
  • 急に予定が変わるとパニックになる: 予定が急に変わったり、変更されたりすると、パニックになったり、不安になったりすることがあります。

ASDの子どもは、これらの特性が原因で、わがままだったり、マイペースに見られることがありますが、それは彼らの個性であり、特性の一つです。

これらの特性を理解することで、子どもへの接し方や学習の教え方を変えることができます。

感覚過敏・感覚鈍麻

  • 感覚異常による偏食
  • 暑い・寒いの感覚が鈍い
  • 皮膚の感覚過敏で同じ衣類しか着ない
  • ケガをしても痛がらない
  • 電車や救急車などの大きい音が苦手
  • 明るい部屋が苦手(白が多い部屋)

これらの感覚異常は、偏食やこだわり行動の原因となることがあります。

例えば、味覚や嗅覚が過敏な子どもは、特定の味や匂いを嫌がるために、偏食になることがあります。

また、触覚が過敏な子どもは、特定の素材の服や靴下を嫌がるために、同じ服ばかり着ようとすることもあります。

ASDの子どもの偏食やこだわり行動を考える際には、感覚過敏・感覚鈍麻の影響も考慮することが大切です。

自閉スペクトラム症の子どもへの接し方

ここでは、ASDの子どもへの接し方について解説します。

ここに書くことは、ASDの子どもだけでなく、どの子どもにも有効なので、ぜひ参考にしてください。

コミュニケーションの取り方

ASDの子どもへの接し方において、最も大切なのは、子どもとの信頼関係を築くことです。

ASDの子どもは、コミュニケーションが苦手なことが多いです。

自分からは話しかけるのに、人の話は聞かない、興味のない話題には反応しない

このような場合、子どもの興味のあることからコミュニケーションを取りましょう。

一緒に遊んだり、子どもの好きな話を聞いたりすることで、共通の話題を見つけることができます。

子どもが話したいことを、じっくりと耳を傾けてあげましょう。

無理に子どもの興味がないことに誘うのではなく、最初は子どもの興味のあることからやり取りをして、そこから広げていくというやり方が効果的です。

行動理解とサポート

ASDの子どもの行動には、特性からくることが多いです。

そのため、行動を理解するには、ASDの特性を理解することが大切です。

特性は治るものではありません。

大人が環境を整えたり、上手にサポートすることで、特性による困難が軽減され、伸び伸びと成長することができます。

社会性の育成

ASDの子どもは、社会的コミュニケーションが苦手です。

挨拶や礼儀、言葉遣いなどなかなか覚えられない子どもも多いです。

そのため、社会性を育てるためには、あいさつや礼儀などをパターンとして1つ1つ教えてあげましょう。

パターン化することで、理解しやすくなる子どもも多いです。

そのときに「普通わかるでしょ」ということでも、1つ1つ細かく教えてあげることが大切です。

社会性が身につくのは、周りの子どもに比べて遅いかもしれませんが、ゆっくりと身についてくるので、焦らず教えてあげましょう。

自閉スペクトラムの子どもの学校生活

ここでは、ASDの子どもの学校生活での気をつけるポイントと対策について紹介していきます。

学校でのサポート体制

ASDの子どもは、集団生活や授業への適応が難しい場合があります。

周りの友達に合わせることも苦手で、学校生活の中で孤立してしまう可能性もあります。

そのため、大人が「この子はASDがあって、集団行動が苦手なんだ」と理解しておくことが大切です。

先生に事前に伝えておくことで、グループ活動の際などに配慮してもらえるようになります。

その他、より手厚いサポートを受けたい場合は、通級指導教室、特別支援学級、特別支援学校などの選択肢があります。

それぞれの違いについては、以前の記事で詳しく紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

学習の工夫

ここでも、お子様の特性を先生に伝えておくことが大切です。

ASDは特性に強弱があるので、お子様がどのようなところが苦手で、どのような配慮を希望するか、具体的なエピソードなどを伝えることで、先生も理解しやすくなります。

例えば、ASDのお子様は口頭指示を理解するのが難しい場合があるため、文字で指示を出す、文字がわからない年齢の場合は絵カードなどを活用する、といった工夫が有効です。

これらの事例は、ASDのお子様だけでなく、他の多くのお子様にとっても有効な支援となるため、学校の先生にとっても取り組みやすいと言えるでしょう。

いじめ問題への対策

日本のいじめは、集団から異質な者を排除しようとする傾向があります。

ASDの子どもは、集団での活動などが苦手で、そのため、いじめの標的になりやすい可能性があります。

お子様がいじめを受けていないかどうか、普段からよく観察し、相談しやすい関係を築いておくことが大切です。

また、本人がいじめられていることに気づいていない場合もあるため、学校生活について普段からよく話し合うようにしておきましょう。

もし、お子様がいじめを受けている可能性がある場合は、担任の先生に相談し、普段の様子と比べて変わったことがないか確認してもらいましょう。

実は、いじめは学校の先生が関わるだけで約80%以上が解決するケースが多いと言われています。

お子様が学校生活を安心して過ごせるよう、学校と協力して取り組んでいきましょう。

自閉スペクトラムの子どもの将来

最後に学校を卒業したあとの話を少しだけ解説したいと思います。

自立と社会参加

ASDと診断されても、小学校から大学まで進学し、就職する人もいます。

もちろん、特別支援学校を経て就職する人もいます。

障害の特性や受けてきた支援によって、将来の道は大きく変わってきます。

親としては、将来的には自立して立派な大人になってほしいと願うのは自然な気持ちです。

しかし、その思いを押し付けることで、子どもが苦しんでしまうことを避けてください。

どのような進路、将来を選ぶにしても、一番大切なのは、その子どもに合った環境と支援を提供することです。

自分に合った環境や支援を受けてきた子どもは、周りのサポートを受けながら、自立できていることが多いです。

就職について

親にとって、大切なのは情報収集です。

近年、障害者雇用政策の推進により、多くの企業が障害者雇用枠を採用しています。

障害者雇用に積極的な企業を見つけるには、企業のホームページ情報などを活用するのがおすすめです。

企業が障害者雇用に積極的な理由を知ることも重要です。

その他、一般企業への就職を目指す障害者の方向けに、就職に必要な知識やスキル向上のためのサポートを行う「就労移行支援」というサービスもあります。

さらに、「就労継続支援事業(A型・B型)」などの支援制度も存在します。

日頃から、福祉サービス課、学校の先生、専門家などから情報収集しておくことが重要です。

子どもの成長をみんなでサポート

何度も繰り返しになりますが、大切なのは、お子様の特性を理解し、その子に合った環境とサポートを提供することです。

この点を念頭に置けば、あとはお子様が自身の力で伸び伸びと成長していくでしょう。

そして、この環境やサポートを保護者だけで準備するのは難しい場合もあります。

学校の先生や専門家など、周りの人の知識や経験を参考にすると、保護者の負担も軽減されますので、ぜひ積極的に活用することをおすすめします。

これからも、みんなで力を合わせてお子様を支援していきましょう。

今回のブログ記事が、少しでも皆様の参考になれば幸いです。

もし、気になることや質問があれば、公式LINEやホームページのお問い合わせフォームから、いつでも気軽に連絡してください。

それから、枚方市内で完全個別指導の学習塾も運営しています。
もし、お子さんが勉強で困っていることがあれば、ぜひ一度ホームページをご覧ください。

━━ THANK YOU FOR READING ━━

ここまで読んでくださり、
ありがとうございます。

最後まで読まれた方は、きっとお子さんへの想いが強い保護者様だと思います。
今のお悩み、ぜひ私たちに聞かせてください。

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