発達障害の二次障害、どんな症状が出るの?具体的な例と対処法

発達障害を持つお子さんの成長を見守る中で、「最近、なんだか様子がおかしい…」「もしかして、発達障害とは別の問題を抱えているのでは?」そんな不安を感じたことはありませんか?

それはもしかしたら、二次障害のサインかもしれません。

「うちの子は大丈夫だろうか…」 「二次障害って具体的にどんな症状があるの?」 「もし二次障害になってしまったら、どうすればいいの?」

そんな悩みや不安を抱えるあなたへ。

この記事では、発達障害の二次障害について、具体的な症状や原因、そして予防と対処法まで詳しく解説していきます。

二次障害は決して珍しいものではなく、適切な理解と対応によって、症状を改善し、より良い生活を送ることは可能です。

この記事が、あなたとあなたのお子さんが笑顔で未来を歩むための一助となれば幸いです。

目次

二次障害とは何か?

二次障害は、発達障害の特性が原因で起こる様々な困難やストレスが積み重なり、心身に不調をきたす状態を指します。

発達障害のある人すべてが必ずなるというわけではありません。

二次障害の症状

具体的な症状としては、以下のようなものが挙げられます。

精神的な症状

  • 抑うつ: 気分の落ち込み、興味や喜びの喪失、食欲不振、睡眠障害、集中力の低下、自責感、希死念慮など
  • 不安障害: 過度な心配や緊張、パニック発作、恐怖症、強迫性障害、社交不安障害など
  • 適応障害: 特定のストレス要因に対する過剰な反応、情緒不安定、抑うつ、不安、身体症状など
  • PTSD(心的外傷後ストレス障害): トラウマ体験によるフラッシュバック、悪夢、回避行動、過覚醒など

精神的な症状は、小学生のときにはあまり見られませんが、中学生になると症状が出る子が多いです。

身体的な症状

  • 睡眠障害: 不眠、過眠、悪夢など
  • 食欲不振: 食事が喉を通らない、体重減少など
  • 頭痛・腹痛: ストレスからくる身体症状
  • 慢性疲労: 常に体がだるい、疲れやすい

身体的な症状は徐々に表れるので、お子さんの細かい変化に気づいてあげましょう。

行動面の問題

  • 不登校・ひきこもり: 学校や職場に行けなくなる、外出を避けるようになる
  • 自傷行為: リストカット、過食嘔吐、OD(薬の過剰摂取)など
  • 攻撃性・暴力: 怒りをコントロールできず、他者への攻撃的な言動や暴力に発展する
  • 依存症: アルコール、薬物、ギャンブルなどへの依存

行動面の問題は症状として一番わかりやすく、ここで初めてお子さんの変化に気づく保護者が多いです。

行動面だけに注目せずに、なぜこのような行動をしているのかを考えることが大切です。

発達障害と二次障害

発達障害の特性が、二次障害の発症リスクを高めることがあります。

例えば、コミュニケーションの難しさ、感覚過敏、こだわりなどが、学校や社会生活での困難やストレスにつながり、二次障害を引き起こす可能性があります。

発達障害については、以前に記事にしているので、そちらも参考にしてください。

成長の過程での変化を見極める

よく勘違いされるのですが、発達障害の特性は、お子さんの成長と共に改善していく部分が多いです。

お子さんは成長するにつれて、自分なりのやり方を身につけていきます。

そのため、特性が急に悪化したり、情緒が乱れたと感じた場合は、基本的には「二次障害」だと考えてほぼ間違いないでしょう。

二次障害は、発達障害の特性そのものではなく、二次的に起きている障害だと考えましょう。

発達障害と精神疾患

発達障害のお子さんは、精神疾患になりやすい傾向があります。

特性が理解されにくかったり、人間関係が苦手な場合が多いので、周囲とうまくいかず、ストレスや不安が大きくなり、精神疾患にかかりやすいのです。

特に中学生になると、二次障害として精神的な症状が出やすいです。

身体的な症状や行動面の問題などがなくても、よく様子を見てあげることが大切です。

二次障害の引き金となる原因

二次障害は、さまざまな要因が複雑に絡み合って起こります

お子さんを守るために、どんなことが原因となり得るのか、一緒に見ていきましょう。

環境の変化

二次障害の最も多い原因は、環境の変化です。

小学校や中学校への進学、クラス替えなどで、相性の良くない先生や同級生と過ごすことになったり、学習内容が急に難しくなったりすることが、お子さんにとって大きなストレスになることがあります。

情緒が不安定になるのは、逆境的な環境に対応する反応です。

このような事例に近いことがあった場合は、解決に向けて取り組みましょう。

発達障害・特性への理解と配慮の不足

周囲の人(家族、先生、友人など)が発達障害の特性を理解していないと、お子さんは適切なサポートや配慮を得られず、強いストレスを感じてしまいます。

発達障害のあるお子さんは、得意なことと苦手なことの差が大きいため、「できること」を基準に評価され、「できないこと」への配慮が不足しがちです。

また、発達障害への理解が進んでいない学校では、先生から「問題児」と見なされ、適切な対応を受けられないこともあります。

このような状況が積み重なり、徐々に二次障害の症状が現れてくるのです。

仲間外れやいじめ

発達障害への理解不足は、いじめにもつながります。

特性が目立つお子さんは、周囲に馴染めず、いじめの標的になることが少なくありません。

発達障害の有無に関わらず、いじめは心身に深い傷を残します。

その影響で、二次障害を引き起こすこともあるのです。

二次障害のサインを見逃さないために

二次障害は、年齢によって現れるサインが異なります。

お子さんの年齢に合わせたポイントを押さえて、普段から小さな変化を見逃さないようにしましょう。

児童期:0〜12歳

幼いお子さんは、自分の気持ちを言葉や行動で表現することが苦手です。

また、自分の気持ちに気づくことも難しい場合があります。

そのため、二次障害のサインは、周囲に見える形で現れやすいです。

  • 癇癪、かんしゃく
  • 多動、落ち着きのなさ
  • 集中力の欠如
  • 衝動的な行動
  • 他害行為(叩く、噛むなど)

もちろん、外に見えない内面的なサインもあります。

  • 強い不安感
  • 睡眠障害
  • 摂食障害
  • 身体症状(腹痛、頭痛など)

思春期:12〜18歳

思春期になると、お子さんは徐々に自分自身を理解し、自分の特性にも少しずつ対処できるようになります。

そのため、二次障害のサインは、外に見えにくい内面的な症状が目立つようになります。

目立つ症状が少なくなるため、見逃しやすく注意が必要です。

また、外に現れるサインも幼児期とは異なる場合があります。

  • 不登校
  • ひきこもり
  • いじめ
  • 非行
  • 自傷行為

内面的な症状も、幼児期に比べて強く現れることがあります。

  • うつ病
  • 不安障害
  • 適応障害
  • 摂食障害
  • 睡眠障害

成人期:18歳〜

大人になると、外に現れるサインはほとんどなくなります

その代わりに、内面的な症状がより強く現れるようになります。

また、二次障害が長期化したり慢性化したりしやすくなるため、注意が必要です。

  • うつ病
  • 不安障害
  • パニック障害
  • 依存症(アルコール、薬物など)
  • 適応障害

年齢によって、二次障害のサインは異なります。

日頃からお子さんの様子をよく観察し、小さな変化に気づくことが大切です。

「いつもと違うな」と感じたら、一人で悩まず、専門家に相談してみましょう。

早期発見・早期対応が、お子さんの未来を明るくします。

お子さんの心のSOSを見逃さないために

二次障害に気づくために最も大切なのは、日頃からお子さんとしっかりコミュニケーションを取ることです。

当たり前のことのように思えるかもしれませんが、実はこれが一番効果的なのです。

二次障害の症状が外に現れている時は気付きやすいですが、内面的な変化は見逃してしまいがちです。

だからこそ、普段の親子関係が重要になってきます。

お子さんにとって、一番身近で頼れる大人は親です。

困ったときには、真っ先に親に頼りたいと思うでしょう。

日頃から学校のこと、友達のこと、勉強のことなど、何でも話せる関係を築いておくことで、お子さんは悩みを打ち明けやすくなります。

もしお子さんから相談がなくても、会話の中で特定の話題が減ってきたら、「何か困っていることはない?」と優しく声をかけてみましょう。

日々のコミュニケーションを大切にすることで、お子さんの心の変化にいち早く気付けるようになります。

小さなサインも見逃さず、お子さんの心の健康を守っていきましょう。

二次障害の予防と対策

二次障害を予防し、お子さんが笑顔で過ごせるように、できることから始めてみましょう。

適切な支援と環境調整

二次障害の予防には、お子さんに合った支援と、ストレスが少ない環境を作ることが何よりも大切です。

前述したように、二次障害の最も多い原因は環境の変化です。

ここでいう「環境」には、周りの人たちも含まれます。

お子さんに接する大人たちが発達障害への理解を深め、適切な支援を提供することで、お子さんのストレスを軽減することができます。

逆に、理解や支援が不足すると、お子さんは大きなストレスを抱え込んでしまう可能性があります。

適切な支援と環境調整は、親だけでは難しい場合もあります。

教育機関や医療機関と連携し、お子さんに必要なサポートが届くように働きかけましょう。

自己理解と対処能力の向上

お子さん自身が自分の特性を理解し、ストレスに対処するスキルを身につけることも大切です。

幼い頃は難しいかもしれませんが、小学校高学年や中学生頃から、少しずつ自分の特性や得意・不得意を理解する機会を与えていきましょう。

自己理解が深まれば、お子さんは自分の行動をコントロールしやすくなります

自分で自分を支える力を身につければ、大人になってからも様々な困難を乗り越え、自分らしく生きていくことができるでしょう。

客観的な情報やデータは、自己理解を促す良いきっかけになります。

医療機関での検査や診察も、お子さんの特性を理解する上で役立つでしょう。

早期発見と早期対応

二次障害は、早期に発見し、適切な対応をすることで、症状の悪化や長期化を防ぐことができます。

「いつもと違うな」と感じたら、一人で悩まず、専門家に相談することが大切です。

身体的な症状が出ている場合は、まずは専門の病院を受診しましょう。

そこで改善が見られない場合や、精神的な症状も出ている場合は、児童思春期精神科などがある病院を受診することをおすすめします。

発達障害に関することや育児全般について相談したい場合は、以下の機関も頼りになります。

  • 精神保健福祉センター
  • 児童相談所
  • 子育て支援センター
  • 発達障害者支援センター

一人で悩まず、まずは専門家に繋がること。

それが、お子さんの笑顔を取り戻す第一歩です。

困ったときには、遠慮なく相談してみましょう。

きっと、あなたとお子さんを支えてくれるはずです。

二次障害になってしまったら

お子さんが二次障害になってしまったら、まずは落ち着いて、専門機関に相談しましょう。

発達障害そのものは治りませんが、二次障害は適切な対応によって改善できる可能性があります。

専門機関への相談や連携

二次障害かもしれない、または診断された場合は、医療機関や教育機関と連携を取りながら、治療や支援を継続することが大切です。

専門家に相談することで、一人で悩みを抱え込む負担を減らしお子さんへのサポートに集中できます。

二次障害は決して治らないものではありません。

お子さんの状態に合わせて、専門家と連携しながら、焦らずじっくりと向き合っていきましょう

そして、お子さんのペースに合わせて、温かく見守り、支えていくことが大切です。

家庭での対応

二次障害は、お子さんの周りの環境や関わる人たちが大きく影響します。

専門機関との連携に加えて、家庭での対応も大切です。

特におすすめなのが、「ペアレント・トレーニング」です。

これは、親が子どもとどのように関われば良いのかを学ぶトレーニングで、子育ての悩みや不安を解消し、親子関係をより良いものにするためのサポートとなります。

専門機関に相談した際に提案されることも多いので、気になる方はぜひ試してみてください。

継続的な支援や配慮が大切

私自身、これまで多くの子どもたちと関わってきました。

その中には、二次障害によって不登校になってしまう子も少なくありませんでした。

しかし、医療機関での治療や、その子に合った環境調整などを通して、少しずつ元気を取り戻し、学校に戻っていく子どもたちをたくさん見てきました。

改めて感じるのは、一人ひとりに合わせた環境調整と適切な支援の大切さです。

この記事が、少しでもお役に立てれば幸いです。

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