【不登校】学校に行くべき?行かないべき?元教員目線でメリット&デメリットを解説していきます!

学校に行かないなんて、親としてどうしたらいいの?」「このままで、うちの子は大丈夫?」

もしかして、うちの子は不登校? そんな不安を抱えているお母さんも多いのではないでしょうか。

不登校は決して特別な問題ではありません。

文部科学省の調査では、令和5年度の小中学生の不登校児童生徒数は約29万9千人と過去最多を更新しました。

この記事では、不登校の原因や種類、学校に行くメリット・デメリット、学校以外の選択肢など、不登校に関する様々な情報をわかりやすく解説します。

学校に行かせるべきか、行かせないべきか。

その答えは、お子さん一人ひとりによって違います。

この記事が、お子さんの状況や気持ちに寄り添い、最善の選択をするためのヒントになれば幸いです。

目次

不登校の原因と種類

文部科学省のデータをもとに、不登校の原因と種類について解説します。

不登校の原因

令和5年度の調査では、小中学生の不登校の主な原因は以下の通りです。

小学生

  • 無気力、不安           50.9%
  • 生活リズムの乱れ、あそび、非行  12.6%
  • 親子の関わり方          12.1%

これらの3つの要因で、なんと7割以上を占めています。

中学生

  • 無気力、不安           52.2%
  • 生活リズムの乱れ、あそび、非行  10.7%
  • いじめを除く友人関係をめぐる問題 10.6%

中学生も同様に、これらの3つの要因で7割以上を占めています。

小学生、中学生ともに「無気力、不安」が1位という結果に。

つまり、不登校の理由は、本人や保護者にもはっきりとはわからないことが多いのです。

発達障害との関連性

ある調査によると、不登校の児童生徒のうち、

  • 小学生の16.1%
  • 中学生の7.9%
  • 高校生の13.3%

が発達障害という報告があります。

不登校における発達障害の割合(教育機関)

発達障害と不登校の関連と支援に関する現状と展望

別の調査では、不登校の小学生の約60%、中学生の約30%が発達障害という結果も。

発達障害の特性によって、勉強が追いつかなかったり、友達とのコミュニケーションがうまくいかなかったり、いじめを受けてしまうことがあります。

こうした二次的な問題が、不登校につながるケースが多いのです。

不登校と発達障害については、以前の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

学校や友達が原因の不登校

小・中学校の不登校で、無気力や不安に次いで多いのが、学校生活が原因となっているケースです。

いじめによる不登校

意外かもしれませんが、いじめが原因の不登校は、小学校で0.2%、中学校で0.3%と、実はそれほど多くありません。

これは、いじめが発覚した場合、学校側が何らかの対応を取るようになったためです。

そのおかげで、いじめによる不登校は近年かなり減少しています。

友だちとの人間関係

いじめよりも多いのが、友達との人間関係が原因の不登校です。

スマホやSNSの普及により、学校だけでなくネット上での友達関係も重要になってきました。

こうした人間関係にうまく対処できず、不登校につながるケースが増えています。

学業不振

これといった決定的な理由ではないものの、必ず不登校の要因の一つとして挙げられるのが学業不振です。

勉強が追いつかない、理解できないという状況は、想像以上にストレスとなり、学校に行きたくないと感じる子どもは多いです。

全く理解できない授業を毎日6時間近く受け続けるのは、大人でも大変なこと。

子どもにとっては、本当に苦痛でしょう。

この背景には、発達障害や境界知能などが関係している場合も少なくありません。

学校に行くメリット・デメリット

ここでは、元教員目線で学校へ行くメリットとデメリットを解説します。

先に結論を言ってしまうと、個人的には不登校のお子さんでも学校へ行くメリットは大きいと考えており、学校への再登校をおすすめしています。

学校に行くメリット

不登校でも学校へ行くべきメリットをいくつか紹介します。

学力の向上

一番大きなメリットは、やはり学力の向上です。

もちろん、自宅学習や塾でも学力を伸ばせますが、かなり難しく、費用もかかります。

小・中学校は義務教育なので、基本的に授業は無料で、教科の勉強だけでなく、技術や家庭科、体育、音楽なども学べます。

教える先生は全員資格を持っており、一定水準以上の指導が受けられます。

また、音楽の授業では様々な楽器を使えたり、体育では広いグラウンドや体育館、競技用の道具を使えたりするなど、学校ならではのメリットがたくさんあります。

同じ環境や質を民間で得ようとすると、塾だけでも月に10万円以上かかることも。

金銭面だけでも、学校へ行くメリットは大きいと言えるでしょう。

社会性の向上

個人的には、これが一番大きなメリットかもしれません。

これまで多くの生徒を見てきましたが、不登校のお子さんは、基本的に友達や大人とのコミュニケーションが苦手な傾向があります。

家族や先生とのコミュニケーションは問題なくても、同世代とのコミュニケーションに悩んでいるお子さんはとても多いです。

学校では、上下関係なども学べるので、社会に出たときのことを考えると、大きなメリットになるでしょう。

健康管理

学校へ行くことで、自然と健康的な生活リズムが身につきます。

また、栄養バランスの取れた給食を食べられるので、成長期のお子さんにとっては良い影響があるでしょう。

さらに、通学で歩くだけでも運動になり、健康面でのメリットがたくさんあります。

進路選択の幅

学校教育のデメリットでもありますが、不登校は公立高校への進学に不利に働きます。

学校へ行き、テストや提出物をきちんとこなしていれば、ある程度の学力に合った高校を目指せます。

しかし、不登校の場合は内申点がつかないため、公立高校への進学はかなり難しくなってしまいます。

詳しく知りたい方は、以前の記事を参考にしてください。

学校に行くデメリット

ここからは、不登校のお子さんが学校へ行くデメリットを紹介します。

友人関係の構築

不登校になると、以前から仲の良い友達以外とは、なかなか親しくなるのが難しくなります。

新しい友達関係を築くのが困難になるでしょう。

また、教室へ行けば必ずしも気の合う友達ばかりではありません。

仲良くない子ともコミュニケーションを取らなければならない場面があり、それがさらなるストレスになる可能性も高いです。

さらに、最近では話し合いなどで問題解決をすることを重視する学校教育が増えており、不登校のお子さんにとっては苦痛に感じることも多いかもしれません。

自己肯定感の低下

これは学校へ行く、行かないに関わらず感じるデメリットです。

学校へ行かないことに罪悪感を感じ、「自分はできない」と自己肯定感が低くなってしまうことがあります。

また、逆に学校へ行くことで、勉強や友達関係などを目の当たりにし、自己肯定感が低くなってしまう場合もあります。

ストレスや不安の増大

学校へ無理に行くことで、ストレスや不安が増えてしまうことがあります。

まずは、お子さんと一緒に、教室へ行くのか、別室登校にするのか、毎日行くのか、週に1~2回にするのかなどを相談して決めることが大切です。

無理に学校へ連れて行くだけでは、余計に学校へ行く意欲がなくなってしまうでしょう。

学校以外の選択肢

学校以外にも、不登校のお子さんが勉強したり、友達と交流したりできる場所はいろいろあります。

どこが良いかは、実際に入ってみないとわかりませんが、お子さんや保護者の方が何か行動したいと考えている場合は、良い選択肢の一つになるでしょう。

県や市区町村が運営している施設

不登校のお子さん向けの施設はいくつかありますが、まずは行政が運営している施設からご紹介します。

主な特徴は、

  • 費用が安い
  • 学校と連携できる
  • 他の行政の施設とも連携できる

民間の施設に比べて、かなり安く利用できます。

また、学校に戻りたいという希望があれば、学校とも連携し、担任の先生が訪問したり、再登校のための会議を開いたりすることも可能です。

具体的な行政施設

行政の施設では、主に次の3つがあります。

  • 教育支援センター(適応指導教室)
  • フリースクール(学校内)
  • 学びの多様化学校(不登校特例校)

教育支援センター(適応指導教室)

適応指導教室は、各都道府県の各市区町村に必ず1つはあるので、気になる方は調べてみてください。

人口の多い政令指定都市などでは、複数設置されていることもあります。

通うには学校の許可が必要で、人数制限もあるため、空きがないと利用できません。

フリースクール(学校内)

こちらは、最近増えてきた学校内にあるフリースクールです。

従来の別室登校に近いですが、対応するのは学校の先生ではなく、フリースクールの方が担当します。

適応指導教室が遠くて通いにくいという方には、ありがたい場所でしょう。

ただし、取り組んでいる学校はまだ少ないので、お住まいの地域で実施しているか確認が必要です。

学びの多様化学校(不登校特例校)

こちらは、別の学校になります。

通う場合は、現在の学校から転校し、籍を移すことになります。

学校と同じ教育を受けつつ、独自のカリキュラムや施設・設備を備えているため、従来の学校とは全く違う新しい学校です。

全国的にはまだ数が少なく、公立に限ると令和6年度時点で21校しかありません。

しかし、今後は各都道府県に1校以上は増えていくと考えられています。

民間が運営している施設

民間でも、行政の教育支援センター(適応指導教室)のような場所があります。

特徴としては、

  • 行政に比べて費用が高い
  • さまざまなことを学べる
  • コミュニティの幅が広い

行政の施設に比べると費用は高くなりますが、その分、勉強以外にもさまざまなことを学べる場所が多いです。

また、コミュニティの幅も広く、小学生から大学生まで、多様な人が所属していることが多いです。

具体的な民間施設

民間が運営している施設には、主に次の2つがあります。

  • フリースクール(対面・オンライン)
  • 通信制サポート校

フリースクール(対面、オンライン)

一番に思いつくのがフリースクールではないでしょうか。

近年では、本当にさまざまなフリースクールが増えており、オンラインのフリースクールも人気です。

基本的にオンラインの方が費用は安い傾向にあります。

課題をこなすことで、出席扱いになるフリースクールもあります。

対面もオンラインもそれぞれメリット・デメリットがあるので、利用する場合は見学や利用目的などを明確にしておくことをおすすめします。

通信制サポート

オンラインのフリースクールに似ていますが、通信制サポート校は学業や進学をメインにサポートしてくれるのが特徴です。

そのまま通信制高校へ進学することも可能で、通信制高校への進学を考えている方には、イメージを掴むという意味でも通うメリットがあるでしょう。

不登校の子どもへの接し方

ここでは、不登校のお子さんへの接し方について、私のおすすめの方法を紹介します。

不登校の原因を確認する

お子さんが不登校になりそうな場合、まずすべきことは原因の確認です。

もし原因がわかっているなら、その原因を解決するために行動しましょう。

その際は、学校との連携が欠かせません。

いじめや友達関係の問題は、家庭だけでは解決できません

必ず担任の先生や学年主任の先生に相談し、対応してもらいましょう。

不登校の原因がわからない場合

不登校の主な原因は「無気力、不安」です。

お子さん自身も理由がわからず、学校へ行けなくなっていることがあります。

そんな時は、スクールカウンセラーや心療内科を受診し、カウンセリングを受けることをおすすめします。

お子さんは自分の気持ちを言葉にするのが難しいものです。

カウンセリングは、その気持ちを言葉にするお手伝いをしてくれ、自分の悩みを理解するきっかけになることがあります。

初期対応に徹する

お子さんが不登校になりそうな場合は、とにかく初期対応を素早く行いましょう。

初期対応は早ければ早いほど効果が高いという研究結果が出ています。

いじめや友達関係など、明確な理由がわからない場合でも、まずは不登校の初期対応をしてみてください。

不登校の初期対応については、以前の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

行政や民間の施設に頼る

行政や民間の施設を利用する理由は、コミュニケーションや学力の向上もありますが、個人的に一番良い影響があると思うのは、生活リズムと体調管理です。

不登校になると、1ヶ月ほどで昼夜逆転してしまうことがあります。

そうなると、以前からの友達とも生活リズムが合わなくなり、さらに引きこもりがちになってしまうケースが多いです。

また、最近はオンラインゲームが手軽にできるため、深夜でもゲームを楽しめてしまい、夢中になってしまうお子さんも少なくありません。

生活リズムが崩れると体力も低下し、どんどん活動に支障が出てきます

少しでも良いので、外に出て活動する習慣を維持することが大切です。

情報収集と頼れる場所

お子さんが不登校になってしまったとき、親ができることは情報収集です。

お子さんは、急に「学校に行きたい」「フリースクールに通いたい」「勉強したい」などと言い出すことがあります。

そんな時に対応できるように、日頃から準備しておくことが大切です。

また、情報収集は自分だけで行うのは大変なので、普段から学校の先生と連携を取り、情報交換などができるようにしておくのもおすすめです。

子どもの状況に合わせた選択を

今回は、学校へ行くメリット・デメリットを中心に解説しました。

個人的には、学校に通えるなら通った方がメリットは大きいと思いますが、無理をしてまで行く必要はないと考えています。

最近では、学校以外の選択肢も増えているので、お子さんの状況に合わせて、適切な選択ができることを願っています。

今回のブログ記事が、少しでも皆様の参考になれば幸いです。

気になることや質問があれば、X(旧Twitter)のDMや公式LINE、お問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。

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