不登校の高校受験はどうなる?大阪の選択肢と対策を元教員が解説

「うちの子は不登校だけど、高校に行けるのだろうか」――中学生の保護者にとって、高校進学は大きな心配ごとですよね。
- 不登校でも、高校受験はできるの?
- 内申書(調査書)は、どうなるの?
- 大阪では、どんな選択肢や仕組みがあるの?
この記事を読むと、次のことがわかります。
- 不登校からの高校進学の現状(最新データ)
- 不登校から目指せる進路の選択肢
- 受験で気をつけたい内申書(調査書)のこと
- 大阪府の入試の仕組みと、不登校の受験生が知っておきたい制度
- 保護者ができるサポート
私は元中学校教員・元特別支援学校教員として、不登校の生徒の高校進学を数多くサポートしてきました。
現在は大阪府枚方市で、不登校のお子さん専門の個別指導塾を運営しています。
その経験から、現実的で具体的なところをお伝えします。
不登校でも高校受験はできる?(結論:できます)

まず結論から。不登校でも、高校受験はできます。
不登校だからといって受験できない高校は、基本的にありません。
文部科学省の調査では、「不登校」は「年間30日以上欠席した児童生徒(病気や経済的な理由を除く)」と定義されています。
令和6年度の調査では、小・中学生の不登校は353,970人と過去最多で、12年連続の増加。
中学生だけで216,266人にのぼります。
つまり、不登校は決して特別なことではなく、不登校から高校受験に向かう子も、毎年たくさんいるということです。
なお、別室登校や、教育支援センター(適応指導教室)・フリースクールへの通所が「出席扱い」になるケースもあります。
出席扱いの仕組みは適応指導教室とフリースクールの記事で詳しく解説しています。
進学の状況も見てみましょう。
文部科学省「学校基本調査」では、高等学校等への進学率は98.7%(令和5年度)。
ほぼすべての中学生が高校等に進学する時代です。
また、平成18年度に不登校だった中学3年生を追跡した文部科学省の調査(2014年公表)では、高校進学率は85.1%でした。
やや古い調査ですが、当時よりも通信制高校などの選択肢が大きく広がった今は、さらに進学しやすい環境になっていると考えられます。

不登校から目指せる高校進学の選択肢

不登校だからといって、進路の選択肢が大きく変わるわけではありません。
他の生徒と同じように、さまざまな進路を選べます。
- 全日制高校:平日の昼間に毎日通う、一般的な高校です。
- 定時制高校:時間帯を選んで通える高校。少人数で落ち着いた環境の学校も多いです。
- 通信制高校:自宅学習が中心で、登校日数を抑えられます。近年、生徒数が増え続けている選択肢です。
- 高等専門学校(高専)・高等専修学校:専門分野を深く学べる学校です。
- 就職、または高卒認定試験を経て大学等を目指す道もあります(高卒認定からの大学進学は計画性が必要で、全員に向くわけではありません)。
特に通信制高校は、不登校経験のある生徒の進学先として年々存在感を増しています。
メリット・デメリットや選び方は、こちらの記事をご覧ください。

不登校の高校受験で気をつけること(内申書・調査書)

不登校でも希望する高校を受験できますが、不利に働きやすいポイントがあるのも事実です。
中心になるのが、内申書(調査書)です。
公立と私立で、内申書の影響が違う
公立高校は、学力検査(テスト)の点数に加えて、調査書(内申書)も合否の材料になります。
調査書はテストの成績や提出物などを総合的に評価したもので、不登校期間が長いほど評定が低くなりやすい傾向があります。
一方、私立高校は当日のテストの点数を重視する学校も多く、調査書の影響は比較的小さめです。
評定を上げるカギは「テスト」と「提出物」
多くの中学校では、定期テスト・実力テストの点数と、提出物(問題集・プリント・ノート・実技教科の作品など)の状況をもとに評定を決めています。
以前は「授業に出ていない生徒には評定を付けない」学校もありましたが、現在はほとんど見られません。
代わりに、「出席していない授業のプリントやノートを提出できないと成績が付かない」という運用の学校が増えています。
つまり、学校に毎日通えていなくても、テストと提出物で評定を上げられる余地はあるということです。
評価基準は学校ごとに異なるので、最善策は「今通っている中学校の先生に、評価基準を直接確認すること」。
これが確実で最短のルートです。
不登校生徒への配慮を行う学校も少しずつ増えているので、諦めずに相談してみてください。
内申書の中身や計算方法は、こちらで詳しく解説しています。

大阪府の不登校の高校受験|知っておきたい仕組み

ここからは、大阪府の公立高校入試で、不登校の受験生と保護者が知っておきたいポイントです。
欠席日数そのものを減点する仕組みではない
大阪府の一般入学者選抜は、学力検査(5教科)と調査書の評定を、高校ごとに決められた倍率タイプで合算して総合点を出す仕組みです(学力検査重視〜調査書重視まで複数のタイプがあります)。
欠席日数そのものを点数化して減点する仕組みではありません。
勝負は「当日の学力検査」と「調査書の評定」です。
自己申告書――経緯と意欲を自分の言葉で伝えられる
大阪府の公立高校入試では、受験生全員が「自己申告書」を提出します。
各高校が掲げるアドミッションポリシー(求める生徒像)に照らして、主に合否ボーダーゾーンの判定で参照される書類です。
不登校を経験した受験生にとっては、これまでの経緯と、高校でどう学びたいかという意欲を、自分の言葉で伝えられる数少ない機会になります。
評定が「無記載」の場合の取扱いがある
大阪府の入学者選抜実施要項には、「調査書中の教科の評定が無記載となっている場合の取扱い」という規定があります。
長期欠席などで評定を付けられない場合の選抜方法が定められており、状況によっては、調査書のハンデを抱えたまま戦うのとは違う形で受験できる可能性があります。
ただし、自分が「無記載」の対象になるのか、それとも何らかの評定が付くのかは、中学校側の判断・状況によって異なります。
ここは記事を読んで悩むところではなく、必ず担任や進路指導の先生に確認してください。
大阪ならではの選択肢・知っておきたい制度
学び直しを前提にした大阪の公立高校で、不登校経験者にも理解のある環境です。
詳しくはエンパワメントスクールとステップスクールの記事へ。
大阪府では高校授業料の無償化が進んでいます。
制度の内容は大阪府の高校授業料無償化の記事で解説しています。
大阪府の高校入試は制度変更が予定されています。
最新の変更点は2028年度からの大阪府公立高校入試の記事をご覧ください。
なお、不登校の背景に発達障害や知的障害が関わる場合の進路は、発達障害・知的障害のある子の高校進学で詳しくまとめています。

【事例】不登校から公立高校に進学したAさん

すべてのケースに当てはまるわけではありませんが、私が担当した、不登校から公立高校に進学した生徒の話を紹介します。
Aさんは中学1年生から不登校でしたが、テストと提出物で成績をしっかり評価してもらっていました。
驚くことに、テストでは平均90点以上を取り、評定は常に4〜5を維持。
Aさんには場面緘黙があり、人と話すことに強い不安があったため、塾や家庭教師は合わず、ほぼ独学で学習していました。
学校へは基本的に別室登校で、先生がときどき教えてくれる程度だったそうです。
学習方法は、教科書を読みながら自分で進め、学校のプリントや問題集を解くというもの。
Aさんが公立高校に進学できたのは、保護者の早い対応(中学進学前から別室での学習を学校に相談し、集中しやすい学習環境を整えたこと)と、何よりAさん自身の努力があったからです。
不登校だからと諦めず、その子に合ったやり方を見つければ、道は開けます。
保護者ができるサポート

学校と協力する
不登校のお子さんの高校進学に、中学校との連携は欠かせません。
学校はお子さんの学習状況や進路希望を把握しており、入試情報や説明会・体験入学の情報も集まっています。
定期的に担任や進路指導の先生と面談し、状況を共有して相談しましょう。
学校によっては、家庭学習の進め方や教材選びなど、不登校の生徒向けの学習サポートを用意していることもあります。
インターネットにも情報はあふれていますが、お子さんに最適な進路は一人ひとり違います。
ネットの情報も参考にしつつ、学校の先生方と連携して進めるのが確実です。
家庭での学習リズムづくりに迷ったら、不登校 家での過ごし方も参考にしてください。

学校見学・オープンスクールに行く
学校選びで最も大切なのは、実際に見に行くことです。
通信制の場合は、通学の交通手段も確認しましょう。
通信制高校は利便性を重視して、市街地の中心部に校舎を構えていることが多いです。
以前担当していた生徒は、通信制高校の校舎を見て「想像していた学校と違う」と感じ、志望校を変えました。
広い敷地に校舎がある学校をイメージしていたのに、実際はビルの中にあったことが、本人には大きな違和感だったようです。
こうしたことは、行ってみないとわかりません。
子どもと一緒に、高校生活のイメージをふくらませる
不登校のお子さんにとって、「高校に通っている自分」を想像するのは難しいことがあります。
それでも、見学で楽しそうな雰囲気に触れると、前向きな気持ちになれるケースは多いです。
予約や移動の手間はかかりますが、親子で一緒に参加して、高校生活のイメージを具体化していきましょう。
不登校でも、高校進学の道は閉ざされていない

不登校だからといって、高校進学の選択肢やサポートが大きく変わるわけではありません。
大阪には、学び直しを支える学校や、不登校の受験生が知っておくべき仕組みもあります。
中学校と協力し、学校見学に親子で参加しながら、お子さんに合った高校を見つけて、受験に向かっていきましょう。
不登校からの高校受験や勉強の進め方で気になることがあれば、いつでも気軽にご相談ください。
大阪府枚方市で、不登校のお子さん専門の完全1対1個別指導を行っています。
