発達障害の子の勉強方法|家庭でできる学習サポートを元教員が解説

「発達障害があると、勉強はどう進めればいいの?」――そんな悩みを抱えていませんか。
- 発達障害の子に合った勉強方法は?
- 家庭では、どんなサポートができる?
- 教材選びやスケジュールは、どう工夫すればいい?
この記事を読むと、次のことがわかります。
- 発達障害のタイプ(ASD・ADHD・LD)ごとの学習のつまずき(概要)
- 家庭でできる学習サポートの具体策(環境・教材・スケジュール)
- 学校・専門機関との連携のしかた
- 実際に少しずつ立て直していった子の事例
私は元中学校教員・元特別支援学校教員として、多くの発達障害のある子どもたちの学習を見てきました。
難しい専門知識やお金は使わず、家庭で今日から取り入れられる工夫を中心にお伝えします。
発達障害のタイプによって、学習でつまずくところは違う

発達障害は、大きく分けて3つのタイプがあります。
それぞれ得意・不得意が異なり、勉強でつまずきやすいポイントも違います。
まずは、お子さんがどこでつまずいているかを知ることが、サポートの第一歩です(タイプは重複したり、特性に強弱があったりもします)。
| タイプ | 学習でつまずきやすいこと | くわしくは |
|---|---|---|
| ASD(自閉スペクトラム症) | 文章問題で状況を読み取るのが苦手、急な予定変更が苦手、感覚過敏で集中しにくいことがあります | ASDとは? |
| ADHD(注意欠如・多動症) | 授業に集中しにくい、宿題を忘れがち、別のことを始めてしまうことがあります | ADHDの学習サポート |
| LD(学習障害) | 「読む・書く・計算」のうち、特定の分野だけが極端に苦手なことがあります | 学習障害とは? |
それぞれの特性や学習上の困難をくわしく知りたい方は、上の各記事をご覧ください。
ここから先は、タイプを問わず家庭でできるサポートに絞ってお話しします。

発達障害の子の家庭でできる学習サポート

特別な道具や知識は不要で、お金をかけずにできるものも多いので、できそうなものから取り入れてみてください。
学習環境を整える
勉強する場所
周囲に物が多いと、注意が散りやすくなります。
発達障害のあるお子さんの中には、視覚的な情報に敏感で、周りの物が気になって集中できない子も少なくありません。
理想は机と椅子だけのシンプルな専用スペースですが、難しければ「勉強するときだけ視界に入る物を減らす」工夫で十分です。
視界に入る物を減らす
勉強前に机の上や周りを片付ける、本棚やおもちゃが視界に入らない場所で勉強する、パーテーションやカーテンで一時的に視覚情報を遮る――こうした工夫が効果的です。
やることを紙に書いて貼る
ASDやADHDのお子さんは、注意がそれて、やるべきことを忘れてしまうことがあります。
今日やることをA4の紙に書き出し、目の前に貼っておくと、安心して取り組めます。
終わったタスクを一つずつ消していくと、達成感がモチベーションにつながります。
その子に「できる」教材を選ぶ
発達障害のあるお子さんは、得意・不得意の差が大きい傾向があります。
「これくらいはできるはず」と習熟度に合わない教材を選ぶと、かえって苦手意識を強めてしまうことがあります。
教材は「簡単すぎるかな?」と思うレベルから始めて構いません。
まず確実にできるレベルから「できた!」を積み重ね、スモールステップで少しずつ上げていくと、自信と意欲が育ちます。
学校の宿題が難しくて困っているときは、保護者が手伝っても大丈夫です。
大切なのは「一人でできるか」よりも「学習への前向きな姿勢を育てること」。
一緒に取り組んで「できた」を味わうほうが、その後の意欲につながります。
スケジュールを「見える化」する
ASDやADHDのお子さんは、予定を立てるのが苦手だったり、興味のあることに気を取られたりして、計画どおりに進めるのが難しい場合があります。
小学生のうちは、保護者が予定を立て、お子さんが確認できる場所に貼っておくのがおすすめです。
カレンダーやホワイトボードで視覚的に示すと、安心して取り組めます。
中学生くらいになったら、タブレットやスマホを使って、少しずつ自分で管理する練習に移していくとよいでしょう。

学校・専門機関と連携する

家庭だけで抱え込まず、学校や専門機関と協力することで、お子さんの困りごとはぐっと軽くなります。
学校に特性を共有する
まずは、お子さんの得意・苦手を、具体的なエピソードを交えて担任の先生に伝えましょう。
それだけでも、授業中の配慮や休み時間の過ごし方など、学校生活が過ごしやすくなります。
連絡帳や面談で日頃から小さなことも相談できる関係を築くと、早期発見・早期対応につながります。
学校にお願いできる配慮については、合理的配慮の記事も参考にしてください。
発達障害の診断や手帳があれば、通級指導教室や特別支援学級を利用できる場合もあります。
集団授業が難しくなってきたと感じたら、こうした学びの場も選択肢になります。


専門機関を活用する
発達障害の診断は、医療機関での発達検査を通して、専門医が行います。
検査と聞くと不安に感じる方もいますが、お子さんの得意・苦手や、必要なサポートを具体的に知る手がかりになります。
早めに受けることで、早期の支援につながることもあります。
医療機関では、定期的な診察を通して、医師や臨床心理士から発達に関するアドバイスを受けられます。
保護者向けのセミナーや相談会で、ほかの保護者と悩みを分かち合えることもあります。
【事例】不登校から少しずつ立て直したAさん

実際に私が担当したAさんの例を紹介します。
Aさんは小学5年生頃まで比較的優秀でしたが、徐々に宿題がわからなくなり、そのたびに家で癇癪を起こすようになりました。小学校は何とか過ごせたものの、中学で部活と勉強が忙しくなると癇癪が増え、ついには不登校になってしまいました。
その後、精神科のある病院で発達検査を受け、自閉スペクトラム症(ASD)と診断されました(知能指数は80)。診断をきっかけに、ご家族はAさんの特性を理解し、無理をさせない接し方に変えていきました。学校でも課題の量を調整してもらえるようになり、ストレスが軽減。癇癪もほとんどなくなり、自分のペースで学習できるようになりました。現在は、受験に向けて中学1年生の内容からゆっくりやり直しています。
特性を理解し、環境を整えることで、子どもは自分のペースを取り戻していけます。
その子に合った勉強で、笑顔で学べる環境を

発達障害のある子どもの学習には、特性に合わせた工夫とサポートが必要です。
この記事で紹介した方法を参考に、お子さんが笑顔で学べる環境を整えていきましょう。
大切なのは、焦らず、諦めず、子どものペースに寄り添うこと。
お子さんの「できた!」を一つずつ増やしていけば、学びはきっと前に進みます。
接し方そのものに迷ったときは、発達障害の子の褒め方・叱り方もあわせてご覧ください。

お子さんの勉強や発達のことで気になることがあれば、いつでも気軽にご相談ください。
大阪府枚方市で、完全1対1の個別指導を行っています。
