発達障害の学びをサポート!効果的な勉強方法と学習支援のヒント
「うちの子、発達障害で勉強が大変…。」そう感じて悩んでいる方はいませんか?
発達障害のある子どもは、学習面で様々な困難を抱えていることがあります。
しかし、適切な勉強方法やサポートがあれば、子どもたちは自分のペースで成長し、学びを楽しむことができます。
この記事では、発達障害の子どもが笑顔で学ぶための具体的な方法やアイデアをご紹介します。
発達障害の特性と学習の困難
ここでは、発達障害の種類や特性、学習面でどんなことに困りやすいのかをご紹介します。
発達障害とは?
実は、発達障害は数種類の障害の総称です。
一括りにされがちですが、大きく分けて3種類あり、それぞれで特性などが大きく異なります。
発達障害には「重複」することもあれば、特性に「強弱」もあることを理解しておくことが重要です。
今回は、3つの種類とその特性による学習の困難について、わかりやすく解説していきます。
自閉スペクトラム症(ASD)の特性
- 臨機応変な対人関係が苦手:暗黙のルールや相手の気持ちを理解することが難しい場合があります。
- こだわりが強い:特定のものごとや場所、手順などに強いこだわりを持つことがあります。
- 特定の感覚が極端に敏感/鈍感:大きな音や光が苦手だったり、逆に鈍感だったりする場合があります。例えば、ざわざわした場所が苦手、特定の肌触りが不快など、人によって感じ方も様々です。
自閉スペクトラム症(ASD)の学習上の困難
- 国語や算数、数学の文章問題が苦手:暗記問題や計算問題は得意な子が多いですが、文章を読んで状況を想像したり、問題の意図を理解することが難しい場合があります。
- 急な予定変更が苦手:臨機応変な対応が難しいため、予定の変更に戸惑ってしまうことがあります。
- 感覚過敏による学習環境への困難:大人数の声や雑音、大きな音が苦手で、集中して学習に取り組むことが難しい場合があります。
注意欠如・多動性障害(ADHD)の特性
- 不注意:うっかりミスや忘れ物が多い、集中力の持続が難しいなど、注意が散漫になりやすい傾向があります。
- 多動性・衝動性:じっとしているのが苦手、思いつきで行動してしまう、順番を待てないなど、落ち着きがない様子が見られます。
注意欠如・多動性障害(ADHD)の学習上の困難
- 授業に集中するのが難しい:先生の話を聞いていても、他のことに気を取られてしまうことがあります。例えば、外の景色が気になったり、関係のないことを考えてしまったりします。
- 宿題を忘れる:宿題の存在自体を忘れてしまったり、宿題をやろうとしても他のことに気を取られてしまうことがあります。
- やりたい勉強と違うことをしてしまう:例えば、国語の勉強中に算数の問題を解いてしまったり、関係のない遊びを始めてしまったりすることがあります。
学習障害(LD)の特性
- 読字障害(ディスレクシア):文字を読むのが苦手で、文章を読むのが極端に遅かったり、内容を理解するのに時間がかかったりします。
- 書字障害(ディスグラフィア):文字を書くのが苦手で、ひらがなや漢字がうまく書けなかったり、鏡文字を書いてしまったりすることがあります。
- 算数障害(ディスカリキュア):計算や文章問題が苦手で、数字の概念を理解するのに時間がかかったり、計算の過程を覚えられなかったりすることがあります。
学習障害(LD)の学習上の困難
- 文章の「て・に・を・は」が理解しにくい:助詞の使い分けが難しく、文章の意味を理解するのに時間がかかったり、誤解したりすることがあります。
- 漢字がうまく書けない:漢字の書き順や形を覚えるのが難しく、誤字脱字が多かったり、時間がかかったりすることがあります。
- 繰り上がり、繰り下がりの計算ができない:計算の概念や手順を理解するのに時間がかかり、繰り上がりや繰り下がりの計算が苦手だったり、時間がかかったりすることがあります。
学習障害は、学習全体に困難があるわけではなく、特定の分野にだけ苦手があることが特徴です。
「発達障害」についてさらに詳しく知りたい場合は、ぜひ関連記事も読んでみてください。
家庭でできる学習サポート
ここでは、家庭で手軽にできる学習サポートのコツをご紹介します。
学習環境の整備
特別な道具や難しい知識は一切不要、手軽にできる学習環境の整備のコツをご紹介します。
お金をかけずにできることもたくさんあるので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
勉強部屋
お子さんの部屋やリビングでの学習も可能ですが、周囲に物が多いと注意が散漫になりやすい場合があります。
発達障害のあるお子さんの中には、視覚的な情報に敏感で、周囲の物が気になって集中できないケースも少なくありません。
理想的なのは、専用の勉強部屋を用意することです。
机と椅子だけがあるようなシンプルな空間は、余計な刺激を減らし、学習に集中しやすい環境と言えます。
視界に入るものを減らす
しかし、一般家庭で専用の勉強部屋を用意するのは難しい場合も多いでしょう。
そんな時は、勉強するときだけでも視界に入るものを減らす工夫をしてみましょう。
例えば、勉強前に机の上や周りを片付けるだけでも効果があります。
また、本棚や玩具など、視界に入らないような場所で勉強するのも良いでしょう。
パーテーションやカーテンを活用して、一時的に視覚的な情報を遮るのも有効な手段です。
やるべきことを書いた紙を用意する
ASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠如・多動症)のお子さんは、注意が逸れやすく、やるべきことを忘れてしまうことがあります。そんな時は、今日やることをA4サイズの紙に書き出し、目の前に貼っておくのがおすすめです。
やるべきことが視覚的に分かれば、お子さんも安心して学習に取り組めます。
また、タスクを一つずつ消していくことで達成感を感じ、モチベーションを維持することにもつながります。
教材&スケジュール管理
発達障害のあるお子さんの学習をサポートする上で、教材選びとスケジュール管理は非常に重要です。
ここでは、保護者ができる具体的なサポート方法について詳しく解説します。
できる教材選び
発達障害のあるお子さんは、得意・不得意の差が大きい傾向があります。
苦手な教科でも、「これくらいはできるはず」と、つい習熟度に合っていない教材を選んでしまいがちです。
しかし、難しい教材は、お子さんの学習意欲を低下させ、苦手意識を強めてしまう可能性があります。
教材選びは、簡単すぎるかな?と思うレベルから始めても全く問題ありません。
まずはお子さんが確実にできるレベルを把握し、簡単な基礎問題から取り組むことで、「できた!」という成功体験を積み重ねていきましょう。
スモールステップで少しずつレベルアップしていくことで、自信と学習意欲を高めることができます。
難しい問題は手伝うのもOK
学校の宿題が難しく、お子さんが困っている場合は、親が手伝っても大丈夫です。
大切なのは、お子さんが一人でできるかどうかではなく、学習に対する前向きな姿勢を育むことです。
難しい問題に直面した時、一人で解決できずに苦手意識を持つよりも、親と一緒に取り組むことで「できた!」という達成感を味わう方が、今後の学習意欲につながります。
スケジュール管理
ASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠如・多動症)のお子さんは、予定を立てるのが苦手だったり、興味のあることに注意が向きやすい傾向があります。そのため、予定通りに学習を進めるのが難しい場合があります。
将来的には自分で予定を立てられるようになることが大切ですが、小学生の間は、親が予定を立て、お子さんが確認できる場所に掲示しておくのがおすすめです。
カレンダーやホワイトボードなどを活用し、視覚的に分かりやすくスケジュールを提示することで、お子さんは安心して学習に取り組むことができます。
中学生くらいになったら、タブレットやスマホなどを利用して、少しずつ自分でスケジュール管理できるように練習していくのも良いでしょう。デジタルツールを活用することで、予定の変更や確認が容易になり、自立を促すことにもつながります。
学校や専門機関との連携
今回は、家庭以外の場所で受けられる学習サポート、特に学校との連携についてご紹介します。
学校との連携
お子さんの困りごとを軽減し、スムーズな学校生活を送るためには、家庭と学校が協力し合うことが不可欠です。
ここでは、学校との連携を深めるための具体的な方法について詳しく解説します。
発達障害の特性の共有
まずは、学校とお子さんの発達障害の特性について共有することが大切です。
どんなことが得意で、どんなことが苦手なのか、具体的なエピソードを交えながら伝えることで、先生方はお子さんをより深く理解し、適切なサポートを提供することができます。
発達障害の特性の中には、一見すると理解されにくいものもあるかもしれません。
しかし、担任の先生に伝えておくだけでも、授業中の配慮や休憩時間の過ごし方など、学校生活が過ごしやすくなるはずです。
定期的な面談や連絡帳などを活用し、担任の先生との日頃のコミュニケーションを大切にして、困りごとや不安を共有していきましょう。些細なことでも気軽に相談できる関係を築くことで、問題の早期発見・早期対応につながります。
通級指導教室や特別支援学級
発達障害の診断や障害者手帳があれば、通級指導教室や特別支援学級を利用できる場合があります。
通級指導教室では、週に数回、少人数のグループで専門の先生から指導を受けることができます。
特別支援学級は、通常の学級とは別に設置された、発達障害のあるお子さんのための学級です。
もし学校での集団授業が難しくなってきたと感じたら、これらの選択肢も考えてみましょう。
お子さんの特性や状況に合わせて、より適切な学びの場を選ぶことができます。
通級指導教室や特別支援学級については、以前の記事で詳しくご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
専門機関の活用
お子さんの発達障害を理解し、適切なサポートを受けるためには、専門機関の活用が欠かせません。
ここでは、医療機関を中心に、専門機関の活用方法について詳しく解説します。
発達検査
発達障害の診断を受けるには、医療機関で発達検査を受ける必要があります。
専門医による診断は、お子さんの特性を正確に把握し、適切な支援につなげるための第一歩です。
発達検査と聞くと、不安な気持ちになる保護者の方もいるかもしれません。
しかし、検査を受けることで、お子さんの得意なこと、苦手なこと、そしてどのようなサポートが必要なのかを具体的に知ることができます。
早期に診断を受けることで、早期の療育や支援につながり、お子さんの成長を大きく後押しすることができます。
専門的な指導や情報収集
医療機関では、定期的な診察を通して、専門家からお子さんの成長や発達に関するアドバイスや指導を受けることができます。医師や臨床心理士などの専門家は、発達障害に関する豊富な知識と経験を持っており、お子さんの特性に合わせた具体的なサポート方法を提案してくれます。
また、医療機関は、発達障害に関する最新の情報を収集できる場でもあります。
保護者向けのセミナーや相談会などが開催される場合もあり、他の保護者と交流することで悩みを共有したり、情報交換したりすることができます。
不登校でも少しずつ頑張ったAさん
ここでは、私が実際に担当したAさんの例をご紹介したいと思います。
Aさんは、小学校5年生頃までは比較的優秀な成績でしたが、徐々に学校の宿題が分からなくなり、そのたびに家で癇癪を起こすようになりました。
小学校の間は何とか過ごせていましたが、中学校に入ると部活動や勉強が忙しくなり、癇癪がさらに増えて、ついには不登校になってしまいました。
その後、精神科のある病院を受診し、発達検査を受けた結果、自閉スペクトラム症(ASD)と診断されました。
知能指数(IQ)は80でした。
診断を受けてから、ご家族もAさんの特性を理解し、無理をさせないように接するようになりました。
学校でも課題の量を調整してくれるようになり、Aさんのストレスが軽減されました。
そのおかげで、癇癪もほとんどなくなり、自分のペースで学習できるようになりました。
現在は、受験に向けて中学1年生の内容からゆっくりと勉強をやり直しています。
その子に合った勉強を
発達障害のある子どもの学習には、特性に合わせた工夫やサポートが必要です。
この記事で紹介した方法を参考に、お子さんが笑顔で学べる環境を整えていきましょう。
大切なのは、焦らず、諦めず、子どものペースに合わせて寄り添うことです。
今回のブログ記事が、少しでも皆様の参考になれば幸いです。
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